《NHKから国民を守る党(N国)の丸山穂高衆院議員(大阪19区)が先月末、韓国の国会議員団の竹島上陸に関連して、自身のツイッターに「戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」と投稿した》(9月3日付朝日新聞社説)
《政府もまたまた遺憾砲と。竹島も本当に交渉で返ってくるんですかね?戦争で取り返すしかないんじゃないですか?
朝鮮半島有事時を含め、「我が国固有の領土」において自衛隊が出動し、不法占拠者を追い出すことを含めたあらゆる選択肢を排除すべきではないのでは?》(8月31日付丸山穂高ツイッター)
力尽くで奪われたものは力尽くで取り戻す、これは理の当然であろう。が、だからといって「戦争で取り返すしかない」と言っているだけでは取り戻せない。
<自衛隊が出動し、不法占拠者を追い出す>という丸山議員の戦争観は一面的に過ぎる。確かにシナやロシアのような国は、しばしば「力こそが正義」であるかのような武断主義的振る舞いをする。が、同時に国際世論を味方につけるための「情報戦」も欠かさない。
「戦争で取り返すしかない」と言う丸山議員も、「戦争反対」を唱える他の人たちも、竹島をどう取り戻すのかについては「蚊帳の外」のようである。要は「神学論争」でしかないということである。
《憲法9条も国連憲章も、武力による国際紛争の解決を認めていない。この極めて重要な原則を、一顧だにしない発信を重ねることは、国会議員としてあるまじきことだ》(同、朝日)
憲法9条は武力による国際紛争の解決を認めていない。が、武力による国際紛争の解決の是非を論ずることまで禁じているわけではないだろう。議論の結果、武力による国際紛争の解決が必要ということになれば、憲法9条を改正すれば良いだけの話である(なお、日本を敵国とするUN憲章に書かれた平和的解決など有名無実である)。
その憲法を順守すべき国会議員が、日韓関係が極度に悪化している時に公然と「戦争」を口にする。双方の国民感情をあおり、解決を一層困難にするだけだ。そんな道理すら分からないのだろうか》(9月4日付北海道新聞社説)
韓国側が不法占拠している竹島で大規模軍事演習を行っても非難することなく、日本の一国会議員が「戦争」を口にしただけで大仰に批判する。こんな不公平をどうして<道理>などと言えるのだろうか。
《国会議員が戦争で取り返すしかないと公に発言することは、戦争放棄の憲法九条と、国会議員の憲法尊重、擁護義務を定めた九九条に反する。一私人のざれ言ならともかく、全国民の代表である国会議員としては不適切極まりない》(9月7日付東京新聞社説)
北海道社説子も東京社説子も、国会議員は憲法を遵守せねばならないと言う。が、このように力による奪還を封じ込めてしまうから、竹島は永遠に取り返せないのである。竹島を取り返す気のない人たちの無責任な批判は有害でしかない。【続】