保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

同性カップルの権利について(1) ~不貞行為の慰謝料を求める権利~

《東京高裁が同性カップルにも事実婚(内縁)が成立し、法的に権利が保護されるとの判決を出した。高裁段階では初の司法判断という》(322日付毎日新聞社説)

 この<権利>が後国家的「国民の権利」ではなく、前国家的「人間の権利」であるというのなら仕方のないことなのだろう。「義務」を欠いた「人権」というなら、婚姻を異性間に限る確たる謂(い)われはない。

 誤解のないように付け足せば、私は同性婚に賛成しているわけではない。が、現行憲法のように、「人権」を重んじるのであれば、遠からず同性婚を認めざるを得なくなるに違いないと思うだけである。

《原告の女性がパートナーの女性に不貞行為の慰謝料を求めた訴訟だった。判決は、2人が長年同居し、結婚式を行い、子育てを計画していたことから婚姻に準ずる関係と認め、パートナーに支払いを命じた。

 異性間の場合、婚姻届を出さない内縁でも、法律婚に近い権利が保障されている。規定する法律はなく、司法判断の積み重ねによる結果だ。

 2人が協力して生活し、助け合う義務が生じる一方、離縁時には財産分与ができる。社会保険の制度も法律婚と同様に適用される》(同)

 <不貞行為>に対する慰謝料を請求するために異性婚と同等の権利を同性婚にも認めよということらしい。同性婚の必要がそのようなことから言われるのは何とも歪(ゆが)んだ話である。

《東京都渋谷区が2015年、同性カップルの関係を公的に証明する「パートナーシップ制度」を始めた。法的な拘束力はないが、今年1月時点で34の自治体が導入した。

 企業でも異性間の結婚と同様に扱ってサービスを展開したり、社内の福利厚生を適用したりするところが増えている。既に同性カップルは、社会的に受け入れられつつある。

 判決はこうした流れを踏まえた判断だ。しかし、内縁では認められない権利もある。パートナーの法定相続人になれず、共同で親権は持てない。所得税配偶者控除もない》(同)

 東京都渋谷区で、同性カップルを結婚に準じる関係と公的に認める全国初の「パートナーシップ証明書」の交付が2015115日から始まった。が、同性パートナー証明書の取得第1号になった(くだん)の同性カップルは、2017年に「離婚」(?)している。

 あれだけ同性婚の必要を訴えていたカップルがあっさり離婚するとは、覚悟も信念も不十分だったと言わざるを得ないが、そんなことは異性婚でも同じであり、覚悟も信念も不足した「結婚」は異性婚、同性婚を問わずむしろ「当世風」と称すべきものなのであろうと思われる。【続】