保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

確率論的地震動予測について ~不道徳な地震学者~

《中央防災会議の調査部会は東日本大震災後の2013年、「現在の科学的知見からは(南海トラフ地震の規模や発生時期を高い確度で予測することは困難」とする報告をまとめました。座長を務めた山岡耕春名古屋大教授は「予測できるか、否かではなく、確率論に変わった」と語ります》(3月9日付東京新聞社説)

 端(はな)から地震予知など出来ないと分かっていながら、研究費欲しさに地震予知が可能であるかのように振る舞ってきた地震学者たちは不道徳漢と言うに相応しい。その不道徳漢が新たに不道徳なことを言い出した。それが<確率論>である。

 今後30年以内の<南海トラフ巨大地震>の発生確率は70~80%とされる。が、その根拠は薄弱である。

南海トラフ沿いでは飛鳥時代の白鳳地震(684年)から終戦を挟む昭和東南海地震(1944年)や昭和南地震(46年)まで、100〜200年ごとにM8級の地震が起きたとされます》(同)

 過去<100〜200年ごとにM8級の地震が起きた>、前回の地震から70年以上が過ぎている、だからいつ起こってもおかしくない。これが根拠である。

 が、過去に<100〜200年ごとにM8級の地震が起きた>からといって、次も100〜200年の間隔でM8級の地震が起きるとは限らない。にもかかわらず、(1944、46+100〜200)年に南海トラフ巨大地震が起こるものとし、今後30年以内に発生する<確率>が70~80%あるなどというのは「デマ」と言うしかない。

 何が「デマ」かといって、このような言い方であれば、実際に起れば70~80%の発生確率予測が当たったことになるし、起こらなければ、20~30%の非発生確率予測が当たったことになる。こんなアホな話はない。

 確率論的地震動予測がこれまでどれだけ大外れであったのかが反省された節がないのもまた不道徳の極みである。

 2016年の熊本地震震度7)にせよ、2018年6月の大阪府北部地震震度6弱)にせよ、同9月の北海道胆振(いぶり)東部地震震度7)にせよ、これだけ外しておいてまだ続けるのか?と言わずにはおれない。

《「70%」であれ、「70〜80%」であれ、その意味を具体的にイメージするのは誰にとっても難しい。「いつか来るのだろう」程度の受け止め方しかできないのが正直なところでしょう。見えないもの、分からないものに備えるのは容易ではありません。しかし、だからといって妙な諦めにとらわれてはまずい。できることがないわけでも、座して待つほかないというわけでもないでしょう》(同)

 今後30年以内の<南海トラフ巨大地震>の発生確率が70~80%あるからといって<諦め>ている人などいないだろう。また、<南海トラフ巨大地震>を<座して待つ>ような奇特な人がいるとも思えない。そんな有り得ないことを心配する東京社説子の頭が私は心配である。