保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

年金問題について(1) ~年金問題を争点化するのは馬鹿げている~

《年金制度は、税財源で運営される生活保護のような「公助」ではなく、働く人が保険料を出し合って老後に備える「共助」のシステムだ。(中略)

 若い世代からの「仕送り」方式のため、高齢者が増えて現役世代が減り続ければ制度自体がもたない。

 このため世代間の負担のバランスが取れるまで給付水準を下げる仕組みが2004年の改革で導入された。長期間にわたる制度の持続性を高めた改革である》(73日付毎日新聞社説)

 至って冷静な記述である。

少子高齢化が進む中で給付水準をずっと維持するのであれば、巨額の財源が必要になる。それには保険料や税を大幅に上げるしかない。負担増は国民に嫌われるため、どの政権もこの政策は採用しなかった。

 歴代の政権はそれをはっきり言わず、公的年金があれば安心であるかのような、あいまいな言い方をしてきた。それが国民の間に不安や不信を広げている原因だ》(同)

 言われてきたのは「税と社会保障の一体改革」である。それに真剣に取り組めなかっただけで曖昧にしてきたわけではない。

 また、私の記憶では、年金制度は100年安心だとは言ったけれども、公的年金だけで安心であるかのような話はなかったように思う。消えた年金問題もあったし、政権交代時「月額7万円を最低保障する年金制度創設」などという話が出てきたのもその証左である。

 今回国民の間に不安や不信を広げているのは立憲民主党をはじめとする野党がこの問題を煽ったからである。政権交代時に自分たちも出来なかったことを棚に上げてただ批判するのは健忘症でなければ不道徳である。

 616日放送のテレビ情報番組『サンデーモーニング』(TBS系)で大宅映子女史は次のように言っている。

100年安心っていうのは、年金制度がそうしてることであって、一人一人が100歳まで楽に生きられるだけのお金をあげますよって言ってるもんじゃないんですよ。何故かそこがそうなってしまったので、国を挙げて詐欺だとかという話になってるんです」

「野党もそういう言い方してるけれど、民主党の政権の時も改革しようと思ってできなかった。知らないわけないんですよね。なんか選挙に使おうとしてるのは、与党も野党も両方であってと思うわけ。

 国民としては、それはすごく不幸で、年金みたいなものはそうやってその選挙みたいなもののね、争う道具にしちゃ絶対ダメなんですよ。与党も野党も歩み寄って考えてもらわなければ困る」

《野党は国民の不安に乗じて政権批判を繰り返してきた。年金が参院選の最大の争点と主張するのであれば、具体的な改革案と財源確保策を示すべきである。消費税10%への引き上げにもこぞって反対しているのは無責任と言わざるを得ない》(同、毎日新聞社説)

 このように野党を批判する毎日新聞は私にはとても新鮮に思われる。【続】