保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

コロナ対策について(2) ~夏以降の無策~

第2は「緊急事態宣言」である。これ以上感染者数が増えれば医療崩壊しかねないということで、このような措置に踏み切ったとされるのであるが、これにも幾つか疑問がある。

 夏の第2波から冬の第3波までに時間があったにもかかわらず、対策が打てていなかった。

安倍晋三前内閣当時から政府は特措法改正は「新型コロナの感染が収束した後に検証、検討する」としてきた。だが、昨年のコロナ感染が比較的緩やかなうちに、法改正を実現し、都道府県とともに医療提供体制を整えておくべきだった。当時官房長官だった菅首相は失策を率直に認めるべきだ》(1月19日付産經新聞主張)

 1番の問題は指定感染症の分類である。現在新型コロナウイルスは2類以上に相当しているが、これだと対応できる医療機関そして病床数が非常に限定されてしまって、医療崩壊しかねないという話になってしまうのである。が、分類を緩めれば病院もベッドも逼迫(ひっぱく)せずに済む。

《関西の開業医が語る。

「11月から、うちもPCR検査をしていますが、大きくは告知していません。コロナが疑われる患者さんの来院時は、職員に下がってもらい、私一人で検査を行います。指定感染症2類相当として扱われているので、一般の患者と動線を分ける必要もあり、行うのも昼休みか夕方の診療後です。職員の安全確保や消毒の手間を考えると大変です。うちが認定機関に手を挙げたら、翌日には契約書が送られてきたから、自治体もコロナを受け入れる医療機関を増やしたいのでしょう。しかし、うちも1月以降、患者は3割ほど減っていますし、知り合いの小児科は10分の1にまで減っている。そういうなか民間医療機関が受け入れるのは難しい」》(「保健所が厚労省に『2類指定を外して』 体制の見直しで医療逼迫は一気に解消へ」:デイリー新潮 2020/12/27(日) 5:59配信)

 次に、第1波時に患者を受け入れのため病床を確保していた医療機関が病床が埋まらずに赤字となって撤退してしまったという話がある。公共的に病床を確保するのなら、コロナ患者用空きベッドにも国などが補償を行う必要があるがこれを怠ってしまったため採算が合わずに撤退を余儀なくされたということなのである。

 ベッド確保のためにはお金が必要となる。が、政府の財布の紐は堅い。日本は私立病院が多く、採算に合わない体制はとれない。もし採算を度外視してベッドを開けてもらおうなどと考えているとすれば勘違いもいいところである。

 医師、看護師不足の問題もある。コロナ重症患者には多人数で応対に当たらねばならず、現在の医療者数ではパンクすることは目に見えていたのである。医療者数を増やそうと思えば、これもまたそれなりのお金が要る。つまり、コロナ特別手当のようなものが必要だということである。風評被害などの精神的な手当ても含めてそれなりのお金が支払われるのであれば、一時的に現場を離れている人なども含め一定の人手を確保することも可能となるのではないか。【続】