保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

皇室問題について(2) ~現代の価値観で伝統を判断する愚~

《性別にこだわらない考え方に立てば「直系長子(第一子)優先制」が採られる。西欧諸国の王室などはその典型例であり、英国のエリザベス女王など有名な女王も珍しくない》(11月6日付東京新聞社説)

 話にならない。「皇室」(権威の象徴)と「王室」(権力の象徴)を同一視した議論は成立しない。

《世論も女性天皇の容認が圧倒的である。共同通信が今年四月に実施した世論調査では、女性天皇を認めることに関し「賛成」「どちらかといえば賛成」のいずれかを選んだのは計85%に上った。母方に天皇の血筋がある女系天皇も計79%が賛成だった》(同)

 多くの国民は<女性天皇>と<女系天皇>の区別が付いていないだろう。<女系天皇>にはどういう問題があるのかを知らない人達に<女系天皇>を認めるかどうかを尋ねても意味がない。

 このような意味も分からず回答している人達の意見を積み重ねて「民意」などと喧伝(けんでん)し世論誘導しようとするマスコミの姿勢は甚(はなは)だ危険である。

《男女平等、さらに女性の社会進出の時代にふさわしいという意識の反映なのかもしれない。小泉政権下の2005年には、有識者会議も女性・女系天皇を認める報告書を出している》(同)

 <男女平等>のような現代的な考え方を振りかざして<伝統>の変更を試みようとするのも遺憾である。現代人は<男女平等>が絶対的なものであるかのように思い込まされているけれども、果たして男女が<平等>などというものが現実として有り得るのかどうか、よく考えてみる必要があるのではないか。

 例えば、スポーツの世界では男女は区別されているが、<平等>というのなら男女の別なく実施すべきである。が、そうなれば、おそらく多くの競技において女性は活躍の場を失うであろう。それが「現実」というものである。

 無論、女性がただ女性ということで不当な扱いを受けているのだとすれば問題ではあろう。が、女性を尊重するということと不平等を言い立てる女性を取り留めもなく優遇するということとは分けて考えるべきではなかろうか。

《保守派は「男系・男子の皇位継承は皇室の2千年近い伝統」とし、戦後に皇籍離脱した旧宮家の血筋の男子に皇籍を取得させる案をいう。

 だが、旧宮家天皇との男系の共通先祖は約6百年もさかのぼり、かつ戦後はずっと民間人だった人々でもある。国民の納得が得られるだろうか》(同)

 現時点において言えば、国民の納得を得ることは難しいのかもしれない。が、そうであるなら納得を得られるよう努力すればよいのである。無論、時間は掛かるだろう。が、GHQによって無理矢理皇籍離脱させられた人達の家系を元に戻すことは皇位継承問題を解決するための「窮余の一策」であることは疑いを容れないのではないか。【続】