保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

皇位継承等の有識者会議について(3) ~側室制度~

女性天皇への賛成派は85%、女系天皇への賛成派も79%に上っている…男女共同参画という時代の流れや、男女平等の憲法の精神にかなっていることは言うまでもない。

 そもそも2017年に成立した天皇退位特例法の付帯決議は、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」創設などについて速やかな検討を求めていた》(4月5日付東京新聞社説)

 中継ぎ的<女性天皇>は過去にもおられたのであるから賛成も反対もない。問題は、女性天皇にお世継ぎが生まれても女子継承は認められないから皇位継承権はないということが確認されているかどうかという点にある。

 さらに、<女性天皇>と<女系天皇>の違いが分かった上で、賛成反対を問うたのかどうかという問題もある。<女系天皇>という「用語」はある。が、未だかつて<女系天皇>などというものはこの世に存在したことはない。<女系天皇>などというものは空想の産物であって「天皇」と呼べる存在ではない。もし仮に女系の皇族が天皇の地位に就いたとしても、それは「似非(えせ)天皇」でしかない。

 女性宮家創設についても、女系の<似非天皇>を認めることを前提にしているのであろうから、有り得ない話である。

皇位継承をめぐっては、江戸中期、朱子学者の新井白石閑院宮家の創設を建言していた。後に後桃園天皇崩御し、直系男子が絶えた際、閑院宮家から兼仁王が迎えられ、光格天皇として即位することで、皇統は維持された。側室制度などがあった当時ですら、何もしなければ皇統が絶えかねないとの危機感のもと手を打っていた。これと比べると、戦後70年以上一切手をつけないでおき、今になって男系か女系かなどといった議論を始めるのは、遅きに失したと言わざるを得ない》(大場一央「(上)北畠親房、会沢正志斎、皇室をドライに割り切る思想家が皇位継承論じれば」:産經新聞 2021.5.4)

 私は<側室制度>を復活させるべきだと考えるが、世俗の「一夫一婦制」にこだわる人達の反対の声は大きいであろう。が、安定的な皇位継承のために<側室制度>が有効であるということなら十分検討に値すると思われる。日本にとって特別な存在である皇室に世俗の規範を当て嵌めるべきではない。

個人主義を徹底させて「家」を否定し、社会での役割分担意識を解体し続けたのが戦後体制-その淵源は明治維新にまで遡(さかのぼ)れる-だ。価値観の母胎であった「家」が挑戦を受け続けて、それを完全に退けられずにいた結果、皇室でさえ、継承問題が生じたといえる。

 戦後体制という問題を横に置き、ただ皇室の問題として、血統などの議論だけを繰り広げることが本当に有効か。当座の問題として、まずは皇統について論じるとしても、その先には明治以降、徐々に破壊されてきた「家」の見直し、総括が求められていることを忘れてはならない》(同)​【続】​