保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

皇室問題について(1) ~「女系天皇」は有り得ない~

秋篠宮さまが皇位継承順位1位の皇嗣(こうし)となられたことを広く示す「立皇嗣(りっこうし)の礼」の中心儀式「立皇嗣宣明の儀」が8日午前、皇居・宮殿で行われた…立皇嗣の礼は、憲法に基づく国事行為で、天皇の子でなく、弟が皇嗣として公にお披露目されるのは憲政史上初めて》(読売新聞オンライン2020/11/08 22:47)

 今上陛下に男子が居られないことの緊急的措置とも言われるだろう。このことからも皇位継承者問題の議論を急がねばならないことが察せられよう。

 が、ここのところの議論には軽率の趣が見られ心配されるところでもある。

《安定的な皇位継承を望むならば不安が残ろう。

 憲法では「皇位は、世襲」と定められているだけだが、皇室典範では戦前の男系・男子主義の規定が残っているためである》(11月6日付東京新聞社説)

 肇国(ちょうこく)以来の伝統を、憲法とは名ばかりの「GHQ占領基本法」に基づいて変更しようとするのは「破壊活動防止法」に抵触しかねない。このような言い方をすれば、戦前の「治安維持法」による弾圧を想起し反発する向きもあろう。が、皇室の伝統を時代に合わせて変更しようとするのではなく、コミンテルンの指令よろしく今なお天皇制廃止を唱える輩もいる中で、伝統の重みを省みることなく、ただ悟性の赴くまま、抜本的、急進的に変革しようとするのは、日本文化を破壊するに等しい所業ではないかと私には思われるのである(尚、「治安維持法」についての議論は稿を改めることとする)。

皇位を男子に限っているのは明治以降の歴史にすぎず、江戸時代までには8人の女性天皇がいた。いわゆる「中継ぎ」などではなく、人物本位で選ばれた女性天皇もいる》(同)

 これは誤魔化しの議論である。認められないのは「女系天皇」であり「女性天皇」ではない。女性天皇の子が皇位継承すれば「女系天皇」となってしまい、「男系」の伝統が崩れてしまう。

 伝統が崩れるから「女系」が認められないという言い方では何が問題なのかを理解出来ない、理解しようとしない人達も少なくないのであろう。要は、「女系」を認めてしまうと皇室を外れる系図ができ、これを悪用して権力者が皇室に入り込み政治利用しかねないことが懸念されるのである。

《安易に「女系天皇」を求める議論があるのは極めて残念だ。「女系天皇」は別の王朝をつくるに等しく、126代にわたり一度の例外もなかった皇位継承の伝統を壊してしまう。

 男系継承の原則が非皇族による皇位の簒奪(さんだつ)を防ぎ、皇統と国家、社会の安定を守ってきた。君主の位がどのように受け継がれるかは、その正統性、永続性に関わるため、伝統を踏まえることが最も大切である》(11月8日付産經新聞主張)

 権威とは社会の秩序を安定させるものであるが、権力は国民を差配する。この二つが合わされば暴政の危険があるため、日本では伝統的に権威と権力を二分させてきたのである。【続】