保守論客の独り言

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旧宮家の皇籍復帰を望む

《新聞各紙の朝刊は201752日、共同通信社が実施した天皇陛下生前退位をめぐる世論調査の結果を掲載した。有識者会議の議論においては対象外とされた「女性・女系天皇」や「女性宮家」についても調査対象としており、「女性天皇」賛成は86%にのぼった。内訳をみると、「女性天皇」「女系天皇」ともに賛成する人は59%、「女性天皇」には賛成だが「女系天皇」には反対とする人は27%だった。「女系天皇」賛成は62%、反対は36%。「女性宮家創設」賛成は62%、反対は35%だった》

 今の国民の意識を知る上でこの調査結果は一定尊重すべきであろうと思われるが、皇室の何が問題なのかが知らされぬまま世論調査を行うことには大きな疑問がある。

 そもそも伝統というよりも原理的に「女系天皇」が認められるわけがない。「女系」を認めるということは、一般人男性が皇室に入り込むことを認めることになる。「女性天皇」までは皇室内に留まるが、もし女性天皇の伴侶を皇室外から受け入れ、子弟が天皇となった場合、男系を辿れば皇室外に出てしまう。

 これでは万世一系の伝統は崩れてしまう。何より、女性天皇の伴侶争いという権力闘争が巻き起こることになってしまうに違いないのである。

《平成17年、わずか10カ月17回の会合だけで「女性宮家」「女系天皇」容認の結論を下した政府の有識者会議報告書は次のようにいう。「旧皇族は既に60年近く一般国民として過ごしており、今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の方々」だから国民が受け入れるはずがない》(百地章女性天皇でなく旧宮家の男子を」:611日付産經新聞「正論」)

 が、上皇陛下が譲位成された理由の1つが、職務過多により遂行がままならぬことにあったことからすれば、旧宮家皇籍復帰されることはむしろ歓迎されるべきことであろうと思われる。

 2015年の第189回国会において、「旧宮家皇籍復帰に関する請願」が提出されている。

皇室典範を改正し、女性皇族が御結婚後も皇族の身分にとどまり、独立して宮家を創設できるようにしようとするいわゆる女性宮家創設を求める意見が見られるが、万世一系天皇をいただく我が国の国体、国柄の変容を招きかねない重大事であり、決して認められるべきものではない。皇統は125代にわたり一度の例外もなく男系による継承がなされており、我が国建国以来の歴史的事実として女系による継承という考えは完全に排されてきた。

仮に、女性の皇族が一般の男性と御結婚され宮家を創設した場合、その子供の身分を皇族とするか否か、あるいは、皇位継承権を与えるか否かなどの議論が生じかねず、その方が皇位継承権を付与されて皇位に就くようなことがあれば、男性であれ、女性であれ、歴史上例のない女系が皇統に入ることになる。

男系による皇位継承を安定的に維持する方策としては、昭和22年にGHQの占領下において皇籍離脱を余儀なくされた旧11宮家の男系男子の血統の御子孫に皇籍へ復帰していただくことが至当である》

 時間が経てばたつほど皇籍復帰は難しくなる。議論を急ぐべきである。