保守論客の独り言

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尖閣諸島領有は風前の灯火(3) ~防衛白書は黒い資料?~

防衛省は、ことしの防衛白書で、中国当局の船が沖縄県尖閣諸島周辺の接続水域で活発に活動している状況を取り上げ「力を背景とした一方的な現状変更の試みを執ように継続しており、事態をエスカレートさせる行動は全く容認できるものではない」としています。

尖閣諸島周辺での中国当局の船の活動をめぐって、防衛白書で「執よう」という表現が用いられたのは、ことしが初めてで、防衛省は「たび重なる抗議にもかかわらず、活動を繰り返している実態を反映させた」としています》(NHK NEWS WEB 2020年7月22日18時57分)

 が、当然の如くシナがこの白書にケチを付けた。

《中国政府は「白書ではなく黒い資料だ」と反発しました。

 中国外務省報道官:「『白書』と言うが、実際には『黒い資料』だ。日本の一部勢力の悪意があらわとなっている」

 中国外務省は14日午後、「日本の防衛白書は偏見と偽情報に満ち、中国の脅威をやたらとあおり立てている」と批判しました。さらに、「中国は一貫して平和的な発展の道を歩み、防御的な安保政策を掲げている」と主張しました。日本の防衛白書は中国が尖閣諸島を巡り、「力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗(しつよう)に継続している」と懸念を示しています》(テレ朝 NEWS  2020/07/14 19:09)

 が、色の心象は文化によって異なる。白が善、黒が悪だと思い、白書を「正しい文書」のように思っているのだとすれば愚かである。ちなみに官庁の出すのが「白書」、民間機関が出すのが「黒書」である。

 7月14日放送の『報道ライブ インサイドOUT』(BS11)で、沖縄・尖閣諸島周辺の接続水域での中国公船の動きを批判した防衛白書について中国側が「防衛黒書」と批判したことに対し意見を求められた鈴木馨祐・外務副大臣は次のように答えた。

「一般論として、よこしまなことを考えているからそう見える。(日本を)攻めようと思っているからこそ、中国は(日本が)目障りなのだろう。そういった意味で言えば中国の反応は、中国の潜在的な意図を測るバロメーターになる。油断できない。注意のレベルを上げていかなきゃいけない」(朝日新聞デジタル7/14(火) 23:02配信)

 こんなことしか言えないのが情けない。シナは尖閣を獲りに来ている。それをどう防禦するのかが問われているのである。口だけの実効支配でなく、目に見える形での実効支配にまで踏み込む勇気もない。在日米軍に頼らずとも尖閣を守れるだけの自主防衛力強化を訴えるわけでもない。

 主体性なき戦後日本外交は一体どこへ向かおうとしているのだろうか。【了】