保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

「このまま行けば日本は終了」?

ネットを見ていて「このまま行けば日本は終了」という表題が目に入った。一体だれがこのようなことを言っているのか気になって記事を見てみたら、米国在住作家の冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)氏によるものであった。「朝まで生テレビ」や「正義のミカタ」といったテレビ番組でも見掛けたことのある人物であるが、正直私は氏に余り良い印象を持っていない。今回の記事からも同様の印象を持つ。

 が、記事は羊頭狗肉(ようとうくにく)よろしく「このまま行けば日本は終了」ということについて詳しく書かれていない。何か特別なことを書いてくれているのかと思いきや特に何もない。あるのは脱コロナ危機への対策だけである。そしてこの対策もまったくと言っていいほど的外れ感満載である。否、害毒ですらある。

《対策としては、2つ考えられます。

1つは、思い切って資金を調達するということです。国債を大規模に国際マーケットに向けて売っていくということもありますし、民間のマネーも世界規模の調達を行うということが必要です》(冷泉彰彦「このまま行けば日本は終了。コロナ危機を脱する対策なら2つある」:MAG2NEWS 2020.07.22)

 <思い切って資金を調達する>まではよい。問題はその後である。<国債を大規模に国際マーケットに向けて売っていく>だの<民間のマネーも世界規模の調達を行う>だの、本当におかしなことを言うものである。

 おそらくMMT(現代貨幣理論)に理解がないためにこのように言っているのであろうが、このようなことをすれば対外債務が増え、それこそ<日本は終了>ということにもなりかねない。

 国債を日銀が買い受けることで、政府は借金することになるが、そのお金は国民に回るので国全体として見れば「債務」とならない。これがMMTの考え方であるが、国債を国外で消化すれば、将来的にそれこそギリシャのように債務不履行などという事態を招来しかねない。そもそも、国内で消化できるものをわざわざ国外に売り出すことの意味が分からない。

《2つ目は、仮に米国や欧州のコロナ危機が泥沼化した場合ですが、1つの大きな可能性として「中国経済の再拡大に連動してゆく」という考え方があります。観光ということでも、自動車、電子部品など、現在のサプライチェーンのストラクチャーを越えて、もっと大規模な形で中国経済との連携をしていくということは、考慮に入ってくると思います》(同)

 冷泉氏が親中国であることが良く分かる。ウイグルや香港における弾圧、​尖閣諸島沖合接続水域へのシナ船の侵入​といったことが喫緊の問題となっている中で中国経済と連動するなどということが有り得るわけがない。このことはいくら否定しても否定しきれない。

 中国の工作活動の1つと考えられなくもないので注意を喚起しておきたい。