保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

再び敵基地攻撃能力について(1) ~周辺国にお伺いを立ててきた日本~

4日午前行われた河野太郎防衛相の記者会見でのやり取りが話題になっている。

東京新聞上野実輝彦記者:安全保障政策の見直しに関して自民党提言にあったような相手国の領域へのミサイル阻止能力等検討する場合はですね、周辺国からの理解というのが重要になってくると思われますが、現状では特に中国や韓国といった国からは防衛政策の見直しについて十分に理解が得られる状況ではないのではないかと思いますが、防衛政策の責任者として現状の認識と、それから今後もし理解を得る際に必要だと思われることがあればお願いいたします。

河野太郎防衛相:すいません、周辺国ってどこのことですか。

上野記者:主に中国や韓国になると思います。

河野防衛相:中国がミサイルを増強しているときに、何でその了解がいるんですか。

 上野記者の<理解>と河野防衛相の<了解>との言葉の行き違いが気にならないわけではないが、日本が敵基地攻撃能力を保有することに対し、日本全土を射程に収める中距離ミサイルを2千発ほど持つと言われているシナ側の<理解>を得る必要があるはずもないことに変わりはない。<理解>と<了解>で解釈が異なるのであれば上野記者も訂正したであろうが、そのまま質問を続けていることからも大きな問題ではないだろう。

 このような問題で敵を公に特定することなど有り得ないけれども、現状で日本にミサイルを撃ち込んでくる可能性が高いのはシナか北朝鮮であろう。その上で、日本が敵基地攻撃能力を持つことをシナに理解してもらうなどということもまた有り得ない。こんな有り得ないことを訊(き)いているのが東京新聞の上野記者だということになる。

上野記者:韓国に関してはいかがでしょうか。

河野防衛相:なんで韓国の了解が必要なんですか。我が国の領土防衛するのに。

 が、似たようなことは歴史教科書でもある。「近隣諸国条項」である。日本の歴史教科書の記述は近隣諸国に配慮しなければならないというおかしな決まりが存在する。

 靖国神社参拝もそうだ。日本人が国に殉じた先人を追悼するのにシナや韓国の感情を慮らねばならないという内政干渉状態が続いている。

共同通信石井記者:中国海警局の公船と漁船の行動についての質問に対して大臣は海上保安庁と連携して必要な場合にはしっかり行動をとってもらいたいとおっしゃられました。かなり刺激的な言葉だと思うんですが、海警局公船と漁船の行動について質問しているのにこういったことになぜ刺激的な言葉をとったのかということと、実際しっかりと行動をとるは何を指すのかということを教えてください。

河野太郎防衛相:特に刺激的なことを申し上げたつもりはございません。様々なことが南シナ海をはじめ行われているわけでございますから、万が一自衛隊が対応しなければならないような事態になった場合にはしっかり自衛隊が対応するということです。

石井記者:質問はあくまでも中国海警局の公船と漁船の行動についての質問で、それに対して大臣は海保と連携して必要な場合にはしっかりと行動をとってもらいたいと、どういう想定でどういう行動のことを考えていらっしゃるのですか。

河野防衛相:手の内は明かしません。

石井記者:でもそれは非常に国の行き先を左右するような重要な問題なんで、我々に説明して、国民に説明する義務があるんではないでしょうか。

河野防衛相:手の内を明かすことは差し控えます。

石井記者:でもそれは、そんなことを言っていたら国の命運はすべて防衛大臣の手中にある、あるいは総理大臣の手中にあるというふうになってしまうんで、極めて危険な発想だと思うんですが。

河野防衛相:そうは思いません。

石井記者:そうですか。

 かつて民主党政権時代、シナの工作船海上保安庁の巡視船に体当たりしてきた事件があった。このような場合は今後、海上自衛隊海上保安庁としっかり連携して対応するということを述べたまでで、これを<国の命運>などと話を飛躍させても始まらない。また、戦争を押っ始めるわけでもなく、総理や防衛相が国の命運を握るというような話でもない。

 逆に、防衛に関する手の内を明かせば防衛は成り立たず、むしろ国や国民を危険に晒(さら)しかねない。【続】