保守論客の独り言

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敵基地攻撃能力について(3) ~米国任せこそ改めるべき~

《脅威に備え、新たなミサイル防衛の検討は必要だろう。だが、どんな兵器を持つかは他国へのメッセージになる。敵基地攻撃の議論は周辺国を刺激し、軍拡競争に火をつけかねない。たとえ防衛目的であっても攻撃すれば、全面戦争に進む危険もはらむ。それは「平和国家」として許されるのか》(6月24日付京都新聞社説)

 許されるも何も、別に日本が<平和国家>であらねばならぬ謂(い)われはない。むしろ、北朝鮮に百人以上の日本人が拉致され、韓国に竹島を実効支配され、ロシアに北方領土を不法占拠されている国を<平和国家>と称していることの「欺瞞(ぎまん)」こそが指弾されるべきである。

 <全面戦争>の話もおかしすぎる。これでは、<全面戦争>になるくらいなら、日本は「座して死を待つ」方がよいと言っているに等しいではないか。

《安倍首相はかねて敵基地攻撃能力保有に意欲的だが、米国のオバマ政権が周辺国を刺激すると懸念を示し、見送った経緯がある。現在の自衛隊の活動領域は宇宙やサイバー空間にも拡大しており、敵基地攻撃能力を持つとなれば周辺国の緊張を不必要に高めかねない》(6月25日付西日本新聞社説)

 この逸話は、現在のシナの軍拡状況を見れば、むしろオバマ政権が判断を誤ったことを意味するように思われる。譲歩すればむしろ相手の軍拡を呼び込みかねない。「力の均衡」こそが重要であるのにそれが軍事初心(うぶ)なオバマ氏には分からなかったということである。

安倍内閣は9月中に議論の方向性をまとめ、年内に「国家安全保障戦略」を改定する方針だが、日本自身が地域の安全保障バランスを崩し、軍拡競争を促す「安全保障のジレンマ」に陥らぬよう、慎重な議論を求めたい》(6月26日付東京新聞社説)

 シナが南シナ海周辺諸国が手を拱(こまねい)ている間にどれほど勝手な軍事拡張を行ってきたか。そして同じことが次は東シナ海でも起こりかねない状況にある。にもかかわらず、よくこのような寝惚けたことが言えたものだ。朝鮮半島の不安定な状況も加味すれば、日本が自主防衛力を強化するのは当たり前のことである。

 勿論、<慎重な議論>は必要である。が、議論自体を封殺するかのようなおかしな批判はやめるべきだ。

《中国や北朝鮮の脅威を理由に、なし崩し的に防衛装備増強を図る姿勢が見え隠れする。地上イージス計画断念を逆手に取り、進めにくい議論を加速させようとする思惑も透ける》(同、京都社説)

 シナや北朝鮮の脅威があるのなら防衛装備増強を図るのは当たり前である。米国頼みで自らは動こうとしない米国任せの姿勢こそ改めるべきではないのか。

 独立国日本に他国の基地が平然と存在することがおかしいとは思わないのか。沖縄はこのままでいいのか。【了】