保守論客の独り言

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「シナ人権侵害」非難決議見送りについて(3) ~産經主張のおかしな論理~

《中国政府による深刻な人権侵害を非難する国会決議案の採択が、自民、公明両党の執行部の判断で見送られたことで…浮かび上がるのは、専制主義の中国と対峙(たいじ)して自由、平和、繁栄を守っていかねばならないという時代の要請を理解しない国会と政党の姿である》(6月17日付産經新聞主張)

 が、果たして日本はシナと<対峙>していると言えるのだろうか。対峙とは対立し睨み合うということである。が、日本は、例えば、尖閣諸島で睨み合っているようで、実際はシナにやりたい放題されているに過ぎない。シナが尖閣諸島を奪取出来ないのは、尖閣問題は日米安保の対象内であるという言質を米国からとっているからに過ぎない。つまり、尖閣諸島は日本が守っているというよりも米軍によって守られているということである。

 今回の新疆ウイグル問題もそうだし、香港問題もそうであったが、日本は肝心な時、シナに対して強く物が言えない。台湾問題も然(しか)りである。

菅義偉首相は9日の党首討論で、海外の新型コロナウイルス対策の事例として、オーストラリア、ニュージーランド、台湾の名前を挙げ、「3国は強い私権制限を行っている」と述べた。台湾と外交関係がない日本政府は「一つの中国」の原則の下、台湾については「国」ではなく「地域」と呼ぶのが一般的となっている。 立憲民主党枝野幸男代表も、台湾の名を挙げた上で、感染拡大の抑止に「成功している国」と表現した》(産經新聞 6/9() 16:59

 が、これにシナが噛み付いた。

《中国外務省の汪文斌副報道局長は10日、菅義偉首相が9日の党首討論で台湾を「国」と表現したとして、強烈な不満を表明した。両国間の政治文書や「台湾を国家と見なさないという厳粛な約束」に違反したと非難した》(産經ニュース2021/6/10 21:14

 そして情けないことに日本は「国」発言をシナに言われるがまま撤回した。

加藤勝信官房長官は11日午前の記者会見で、菅義偉(すが・よしひで)首相が9日の党首討論で台湾を「国」と表現したことに関し、「台湾に関するわが国の立場は、1972(昭和47)年の日中共同声明にある通りであり、非政府間の実務関係として維持する基本的立場には何ら変更ない」と述べ、修正した》(産経ニュース 2021/6/11 12:11

 話を戻そう。産經主張子は、<自由、平和、繁栄>を守っていくことが<時代の要請>だと言う。が、実際守るのは日本国民であり日本国である。自由を守る、平和を守るなどという観念論はまさに左翼的である。【続】