保守論客の独り言

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川崎市ヘイト条例について(2) ~日本人だけが対象の不思議~

《具体的な手段として、「拡声機の使用」、「看板やプラカードなどの掲示」、「ビラやパンフレットなどの配布」が明記されています。違反が確認されると、市長がその行為を6か月間行ってはならないと「勧告」し、期間内に再び違反行為があれば次は「命令」します。

それでも従わず、命令から6か月以内に3回目の違反が行われた場合、個人の氏名や団体の名称、住所などを公表するほか、刑事告発して50万円以下の罰金を科すとしています。

表現の自由」に配慮し、恣意的(しいてき)な判断を防ぐため勧告や公表などの前には、専門家の審査会に意見を聴く流れになっています》(NHK NEWS WEB 2020年7月1日18時25分)

 <専門家の審査会>が歯止めとなるのか、それともお墨付きを与えるのか、一旦は経過を見守るしかない。

※ 審査会の委員は次の通りである(五十音順)。

 石井忠雄弁護士(元裁判官・法務省人権擁護局長)▽最所義一弁護士(元市人権施策推進協議会委員)▽人見剛早稲田大大学院教授(行政法)▽棟居快行専修大法科大学院教授(憲法学)▽吉戒修一弁護士(元裁判官・法務省人権擁護局長)

歴史認識の表明や政治的な主張については基本的に対象外とし、過度な制約が生じないよう配慮している。

 ヘイト規制策の議論では、正当な言論活動まで萎縮させることがないよう、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いが常に問われる。条例を検討する他の自治体も増えているが、二の足を踏んでいるのが現状だ》(7月8日付山陽新聞社説)

 そもそも無理筋なのだ。「表現の自由」を制限するとすれば、当該のスピーチが「公共の福祉」に反するものだという客観的判断がなされなければならない。が、それは司法の仕事である。

《条例では、「表現の自由」との両立をはかるため、対象を具体的に示しています。

1つ目は、「居住する地域からの退去を扇動・告知する」行為。

2つ目は、「生命、身体、自由、名誉、または財産に危害を加えることを扇動・告知する」行為。

3つ目は、「人以外のものに例えるなど、著しく侮辱する」行為です》(NHK NEWS WEB、同)

 また、当該のスピーチが政治的なものか否かを判断するのも簡単ではない。極端なことを言えば「政治的なヘイトスピーチ」はどう判断するのかということである。

 否、それよりも何よりも問題なのは、この条例が日本人にだけ適用され、在日の人たちには適用されないということである。

《全面施行された川崎市の条例は、人種や民族、性的指向や障害などを理由としたあらゆる差別的な取り扱いを禁じていて、中でも、日本以外の国や地域の出身者に対する民族差別的な言動を繰り返した場合は、刑事罰を科すことを全国で初めて盛り込んでいます》(同)

 「在日は少数弱者であるから日本人批判をしてもヘイトにならない」という理屈がおかしいと思わない川崎市議会はやはりおかしい。【続】