保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

地上イージス配備計画停止について(2) ~対米従属を改めろ~

《迎撃ミサイルの発射後に切り離す推進装置「ブースター」を自衛隊演習場内や海に確実に落とせない技術的な問題が判明したためだ。そんな初歩的なことがなぜ、分からないのか》(6月17日付琉球新報社説)

 たとえ分かっていても、それを口に出せない「大人の事情」があったということである。要は、米国の意向に背(そむ)き、購入配備しないという選択肢がなかったということである。

《計画の停止は技術的な問題が理由とされた。技術的な問題が大きいのは名護市辺野古の新基地建設も同じだ。大浦湾側にマヨネーズ並みの軟弱地盤が存在し、実現性は見通せない。しかも、県民投票で7割超が埋め立てに反対しており、地上イージスの配備候補地以上に民意が具体的でかつ明確に示されている。

 地上イージスの計画停止は技術的問題を理由にしているが、配備候補地の根強い反発が判断を後押ししたことは間違いない。辺野古の埋め立て強行は二重基準と言える。

 沖縄でも、民意を重く受け止め、新基地建設は断念すべきだ》(同)

 辺野古に新基地ができなければ、「世界一危険な飛行場」と称される普天間飛行場がこのまま残るということになる。普天間辺野古かの二者択一のような考え方は沖縄の方々には甚だ失礼な話なのであるが、短期的にはどちらかを選択する以外にはない。

 が、中長期的には米軍が沖縄から全面撤退するような道筋を付けるべきである。こういった将来展望を言わないから沖縄問題はいつまでたっても膠着し続けるのである。

 但し、「力の均衡」を崩すわけにはいかないので、米軍撤退と引き換えに、自衛隊を増強して空白を埋める必要があることだけは誤解の無いように取り急ぎ付け加えておきたい。

 <民意>は、住民自治においては非常に重要であるにしても、東北アジアの軍事均衡といった高度な政治的問題においては、優先度は低いと言わざるを得ない。日本は間接民主制なのであるから、国会においてしっかり「議論」すべきである。

《政府は「専守防衛」の国是に立ち返り、外交努力を含めた東アジアの安全保障戦略を描き直さねばならない。米国は秋の大統領選で現政権の政策が問い直される時期を迎える。平和国家としての日本の基本姿勢を改めてしっかり伝えるべきだ》(6月17日付神戸新聞社説)

 こんな非現実的な話をしても始まらない。戦後日本は米国隷従の道を選んだのだ。だから米国に自らの考えを主張できるような対等な立場にはない。もし自分の意見を述べたいのなら、米国が占領下、国際法違反にもかかわらず日本を弱体化するために押し付けた「日本国憲法」を破棄することである。

 9条のせいで自分の国を自分で守れず、日米安保で米国に守ってもらっているのが悲しいかな現実である。この体制を改めない限り、偉そうなことが言えるわけはないのである。【続】