保守論客の独り言

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新型コロナ特措法成立について(2) ~安倍政権とマスコミ・野党との相互不信~

《五輪開催さえ危ぶまれるような先行き不安の中で、安倍政権は、新型コロナウイルスの感染拡大を阻むための法整備の必要を唱えている。全く理解に苦しむ。

 既に、旧民主党政権下の2012年に成立した「新型インフルエンザ等対策特別措置法」がある。海外から流入する病原体に対応するために、民主、公明両党などの賛成多数で可決した。このまま適用すれば事足れりではないか》(312日付徳島新聞社説)

 「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を新型コロナウイルスに適用できるという話をどこまで信じていいものだろうか。いざ適用する段になって、新型コロナウイルスには現行の特措法を適用できないなどと言い出さないとも限らない。それなら予(あらかじ)め、新型コロナウイルスを書き込んで改正しておこうとするのも無理はない。

《法改正といっても、対象に新型コロナを加えた、小手先の対応である。危機の渦中で法整備を打ち出すなど、時機を失している。手元の法律を駆使し、不備があれば、終息後に「教訓」として法整備を急ぐのが常道だ》(同)

 <不備>があっては困るのだ。実際改正に手間取ったわけでもなく、どうして改正に後ろ向きなのかが分からない。

《政府の専門家会議メンバーで、現行法の策定に関わった岡部信彦・元国立感染症研究所感染症情報センター長は、5日の参院予算委で、新型コロナウイルスにも現行法は適用できる、との見解を示した。

 新型インフルエンザ等対策特措法の「等」に込められた意味について、岡部氏は「その他に重大な病気が出てきた場合にも、適用できると読むべきだ、というのが私たちのコンセンサスだと思っている」と説明した。

 09年に新型インフルエンザが流行し、パンデミック(世界的大流行)の危機を実感したことで、現行法はできた。当時の脅威は、鳥由来の高病原性インフルエンザウイルスだったが、将来、新手の病原体が脅威となった時にも即応できるよう、「等」を付けたのだという。

 想定された脅威が目前にありながら、新法を急ごしらえするのでは、何のために法律を整えたのか分からない。病原体の種類より、立法趣旨にこだわるべきだ》(同)

 岡部氏の意見はおそらくそういうことなのであろうが、現在のような政治およびマスコミの状況では、新型コロナウイルスをしっかり書き込んでおかなければ難癖を付けられるのは目に見えている。

 安倍政権を信用しないマスコミや野党と同じように、安倍政権もマスコミや野党を信用していないに違いない。この相互不信が特措法改正の裏にあると考えるべきである。【了】