《「ここで速報です」
2019年10月28日夜の「報道ステーション」（テレビ朝日系）で、メインキャスターを務めるフリーアナウンサーの徳永有美さんがこう伝えたのは、番組開始後約14分頃（22時10分頃）。トップニュースとして、女優の八千草薫さんが88歳で亡くなった訃報を伝えたあとのタイミングだった。
画面下には字幕で「速報 河野大臣『私は雨男...』」と表示された。（中略）
河野防衛相が28日当日、都内で開かれた「自身のパーティー」で、相次ぐ台風被害に関連し、「私はよく地元では雨男と言われた。私が防衛大臣になってから既に台風は三つ」などと発言したとして、河野大臣が発言する映像（「都内 午後6時すぎ」との表示）も紹介した。テロップ位置は画面右上に変わり、「速報 河野大臣 台風めぐり『私は雨男...』 着任して『すでに3つ』と発言」とある。
河野大臣映像では、「私はよく地元で雨男と言われました。私が防衛大臣になってから既に台風が三つ、（会場からは笑い声）そのたびに災害派遣、自衛隊の隊員が出てくれております」
との発言部分が流れた。徳永MCは、大臣発言が「（台風被害に対する）自衛隊の隊員の活動をねぎらう話の中で出たものですが」とことわったうえで、
「今後、軽率な発言だとして批判を受ける可能性があります」
と続けた。もう一人のMCである富川悠太アナは
「雨で多くの方が亡くなっているわけですから、その雨をどんな理由であれ、笑いにかえるのは、間違っていると思います」
と断じていた》（J-CASTニュース 2019/10/29 17:34）
「速報」で流すようなネタでないことは言うまでもない。それを「失言」に仕立て上げようとするのは「マスゴミ」の常套手段である。
＜可能性があります＞とは逃げ道を作るための常套句である。＜可能性があります＞を付ければ何でも言えるというような報道の仕方は間違っている。
富川アナの＜間違っていると思います＞という発言も中学生レベルで笑止千万である。
一方、被災地の１つである千葉市の熊谷俊人市長は河野大臣発言を次のように擁護し、マスゴミの姿勢を非難した。
「被災地の首長として全く気になりません。いい加減、報道機関は「問題視される可能性もある」等の世論誘導的な文末の悪癖を直した方が良いと思います」（自身のツイッター10月29日）
追い打ちを掛けるように野党政治家が批判する。立憲民主党の福山哲郎幹事長は次のように批判する。
「『雨男』によって３回も台風が来たのであれば、自衛隊員の苦労にも鑑みてすぐ辞任してもらいたい。冗談で言うのは考えられない発言だ」（NHK NWES WEB 2019年10月29日 11時25分）
この程度の発言で＜辞任＞を口にするとは、今更ながら野党第一党の幹事長も地に落ちたものだ。もっと議論すべき大事な問題が山ほどあるだろうに。「雨男」という言葉の選択が大臣の適否規準というのでは福山氏の頭の中は相当幼稚なのであろうと思われる。
否、幼稚なのは福山氏だけではない。
「どんなことであっても、被災地の皆さんが傷つくようなことは政治家として厳に慎まなければならない。河野防衛大臣はそういうことで発言する人ではないと思うが、真意は本人に確認してもらいたい」（同）
と述べたのは小泉進次郎環境大臣である。「雨男」発言を被災地の人たちが傷つくか否かでしか考えられない小泉氏もまた幼稚である。
防衛大臣が、「日本も核武装を考えるべきときが来ている」とでも発言したのならいざしらず、「私はよく地元では雨男と言われた」という雑談で大騒ぎするなどというのでは国民の「受容力」の低下が著しいことの顕（あらわ）れであろうと思わざるを得ない。
