保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

千葉の大規模停電について(2) ~電力自由化の懸念~

《気になるのは、政府が進める電力自由化の影響だ。

 平成28年4月に電力小売りが全面自由化された後、全国で大規模な停電が相次いだ。昨夏には台風などで関西・中部圏の数百万戸が一時停電した。昨年9月には北海道で全域停電(ブラックアウト)も発生した。新規参入増による競争激化が、電力の安定供給の障害になっている可能性がある。

 この自由化の一環で来年4月には電力会社から送配電部門を分社化する「発送電分離」が始まる。東電はこれに先駆けて分社化に踏み切ったが、自由化に伴う経営体制の見直しが復旧の遅れにつながっていないかも検証すべきだ》(9月13日付産經新聞社説)

 この指摘も重要である。今回のような不測の事態が起こった時、電力の自由化のせいで電力の供給に支障をきたすことはないのか、しっかり確認しておく必要がある。

東京電力の見通しの甘さは当然反省すべきだ。それとともに、温暖化で脅威を増す自然災害に負けない街をつくるための多面的な検証が求められる》(9月13日付毎日新聞社説)

 問題が起こってから見通しが甘かったなどと言っても意味がない。ただ地球温暖化で自然災害が脅威を増しているのだからそれに備えろというのは何も言っていないに等しい。

 否、そもそも何でもかんでも「地球温暖化」に問題を持っていくのは何も考えていないのと同じである。例えば、地球が温暖化しているから今後「スーパー台風」が到来する可能性が高いなどというのは非科学的な話でしかない。実際、日本に上陸した「スーパー台風」の1位の第二室戸台風も2位の伊勢湾台風地球温暖化が言われる前である。

順位 名  称

上陸時中心気圧

(hPa)

上陸日時
1 第二室戸台風 925 1961年9月16日
2 伊勢湾台風 929 1959年9月26日
3 平成5年
台風13号
930 1993年9月3日
4 ルース台風 935 1951年10月14日
5 平成3年
台風19号
940 1991年9月27日

《電柱や送電鉄塔などの耐風性の基準は現状のままで良いのか。風対策では、地中に埋設するなど無電柱化が一番の方策だが、日本では進んでいない実情にも目を向けるべきだ》(同)

 確かに台風対策としては地中に埋設するなど<無電柱化>が一番なのかもしれないが、日本には地震もある。地中に埋めればいいではないかというのはやや短絡的ではないかと思われる。

《昨年9月の北海道地震による全域停電(ブラックアウト)後、経済産業省の研究会は蓄電池を組み合わせた地域の再生エネルギー活用モデルの構築や家庭用太陽光発電の災害時利用などを提言した。

 大規模送電に頼りすぎないライフラインのあり方を考えていくことも重要な備えである》(9月13日付京都新聞社説)

 重要な指摘である。今回の京都新聞の社説は秀逸である。【了】