保守論客の独り言

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千葉の大規模停電について(1) ~大きく分かれる新聞社説~

《台風15号の影響で、千葉県を中心に大規模停電が続いている。

 全面復旧は13日以降になる見通しだという。猛暑が続く中、エアコンや冷蔵庫も使えない住民も多い。一刻も早い復旧を願いたい》(913日付京都新聞社説)

 今や電気がない生活など考えられない中で、大規模停電が続く千葉県をはじめとする皆様方のご不便たるや察するに余りあるものがあるだろう。

 新聞社説は大きく2つに分かれた。まずは建設的なものから取り上げよう。

《台風による大規模停電はこれが初めてではない。昨年9月の台風21号では関西電力管内で延べ220万戸が停電した。山間部を中心に倒木などで道路が寸断され、全面復旧に17日間もかかった。

 関電は検証で、停電が長引いた一因は道路を管理する自治体との連携がスムーズでなかったためとし、無人小型機による被害状況把握や障害物除去のための重機の導入が必要と結論づけた。迅速な復旧にはいち早く現場に駆けつけることが重要だとの教訓だろう。

 自家発電などで復旧までの時間を乗り切る工夫も必要だ。台風21号による停電で山間部の浄水場が停止し約570世帯が最長3日間断水した京都市は、浄水場へ非常用発電機の増設を決めている。

 東電や千葉の水道事業者に、こうした備えはあったのだろうか。全面復旧後、速やかに検証することが求められる》(同)

 「他山の石」という言葉があるように、自分たちにも同じようなことが起こらないかどうかの確認は常に必要である。関東には強い台風は来ないとの気の緩みはなかったのか、そこが問われるところである。

 これに対し、文句たらたらの社説はみっともない。

《命にかかわる事態である。政府は全力をあげて被災者を支援すべきだ。

 9日に上陸した台風15号による大規模停電で、千葉県を中心に深刻な影響が広がっている。当初、東京電力は11日中の復旧を目指すと発表したが、13日以降にずれ込んだ。厳しい暑さのなかで不便な生活が続き、熱中症の疑いによる死者も出た。

 停電にともなう断水なども起きている。東電は復旧を急がねばならない》(913日付朝日新聞社説)

 朝日社説子に言われなくても政府も東電も全力を尽くしているに違いない。全力が尽くせていない何かがあるというのならともかく、こんな当たり前のことを今更書いても仕方ない。

《台風が去った後も天候が不安定で、断続的な作業にならざるを得なかったうえ、房総半島の山間部などで倒木の多さに手間取ったというが、見通しが甘かったと批判されても仕方がない。きめ細かで、確実な情報発信の徹底が求められる。

 復旧後には、大規模停電の原因や、なぜ復旧作業に時間がかかったのかを、厳しく検証する必要がある。他の電力会社を含め、停電を起こさぬ努力だけでなく、よりスムーズに復旧できる態勢をつくるためだ。

 10万戸相当の停電につながった鉄塔2基の倒壊では、強度の想定を超える風が吹いた可能性がある。倒壊の状況を精査し、必要ならば「耐風性」の想定を見直さねばならない。

 福島第一原発の事故で経営が苦しい東電は、需要の伸び悩みもあり、送配電部門の投資を抑えてきた。電柱の交換や補強といった安全確保策に甘さがなかったかも、検証すべきだ》(同)

 これもまた当然のことで、朝日社説子に偉そうに言われる筋合いのことではない。

 朝日社説は『停電の長期化 「想定外」ではすまない』と偉そうに表題に書くが、事前に想定の甘さを指摘できなかった朝日新聞も五十歩百歩ではないか。【了】