保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

山本太郎・れいわ新選組代表を考える(3) ~消費税廃止は机上の空論~

《私は本来の税の在り方に立ち戻るべきだと考えています。一言で言えば、消費税導入前の税制に戻すということです。

 消費税導入によって、法人税所得税の大減税が進められてきました。法人税の税収は、消費税が導入された1989年には19兆円ありましたが、2016年には10・3兆円に減ってしまいました。消費税収の73%が法人税収の減少分を補っているという計算も成り立ちます。金持ちに優しい、大企業に手厚い税の取り方は間違っています》(『月刊日本』2019年9月号、p. 46)

 おそらく所得税法人税の税率が上がれば、高額所得者や大企業はますます租税回避地(tax haven)への脱出を図るだろう。

東証に上場している上位50社のうち45社がタックスヘイブンを活用し、ケイマン諸島だけの活用に限っても、日本の大企業は55兆円で、アメリカに次いで世界第2位の規模です。つづく、イギリス23兆円、フランス20兆円、ドイツ17兆円で、後に続く各国を合わせた額に相当するぐらい日本の大企業はタックスヘイブンを活用し税逃れをしている》(「日本の大企業・富裕層はタックスヘイブンで世界第2位の巨額な税逃れ、庶民には消費税増税社会保障削減」:国公労連の雑誌『KOKKO』編集者・井上伸のブログ 2015/9/7)

 法人税所得税の税率が引き下げられてきたのは、このタックスヘイブン対策という面もあるのであって、

《消費税を廃止して…所得税最高税率を上げ、分離課税をやめればいい。法人税も累進性を導入すればいい》(『月刊日本』2019年9月号、p. 47)

というような簡単な話ではない。

《つまり、儲かっている人たちに、国を支えるために貢献していただくという考え方です。このような税制改革によって、一番プラスになるのは中小、零細企業だと思います。消費税を廃止することによって、中小企業は息を吹き返します。日本全体の従業者数はおよそ4800万人ですが、その70%は中小企業で働いています。中小企業のクビを絞めるような政策は、この国の屋台骨を破壊することにはかなりません》(同)

 大企業への増税を企図した結果、租税回避が進んでしまっては、税収はむしろ減りかねない。これでは元も子もない。

《大企業に付度する安倍政権の経済政策は、とるべき政策の真逆だと思います。格差を縮める役割を果たすのが政治です。大企業への付度をやめ、こうした税制改革をすれば、29兆円の財源が確保できます。同時に、デフレ期においては、新規国債の発行を躊躇なく行う必要があると考えています》(同)

 <経済政策>は<税制>の言い間違いだろうが、先ほども触れたように<税制>の根本的考え方はそう簡単には変えられない。高額所得者や大企業から今以上に税金をとろうとしてもうまくいかないだろうということである。

 「ゼロサムゲーム」、つまり、どの層を増税してどの層を減税するのかだけを考えていてもうまくいかない。日本全体のパイをどうやって大きくするのかを考えることが税収を考える際には必要だということである。【続】