保守論客の独り言

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参院選:れいわ新選組の議席獲得について(2) ~れいわの主張は無責任な放言に過ぎない~

古賀伸明・元連合会長は、今回の参議院選挙の結果について、

《既成政党のどの党が「勝者か敗者かはっきりしない」とする一方で、「れいわ新選組」(山本太郎代表)と「NHKから国民を守る党」は「間違いなく勝者」だと指摘した》(毎日新聞7/26(金) 9:30配信)

 与党が続けて3分の2の議席を占める状態は、大政翼賛ではあるまいに、やはり正常な状態だとはとても思えない。

 よく選挙には「振り子の原理」が働くと言われる。有権者が前回与党が勝ち過ぎたと思えば、今度は野党に票が流れるということであるが、振り子が振れずに固定されるようではやはり野党の負けということであろう。

 その原因は、延々「森友・加計問題」で国会を空転させてきたことが大きかったと思われるが、このような批判分析をしたマスコミは見られない。

 また、れいわ新選組とNHKから国民を守る党が議席を獲得したことに注目が集まっているが、確かに現行制度で新参集団がたとえ1議席でも議席を獲得するのは大変なこととはいえ、たかだか1,2議席を獲得したことをもって参院選の<勝者>とまで言うのはやはり言い過ぎであろう。

 れいわ新選組について古賀氏は、

「これまでの社会的弱者に寄り添った行動や発言を、比例代表の特定枠1位と2位に重度身体障害者を位置付けたことにより具体的に明らかにした」(同)

と勝因を分析した。が、こんな意味不明なことを言われても困る。社会的弱者に寄り添うということは、彼らを社会の矢面に立たせることではない。ましてや重度障礙者を国会の議論に参加させるなど、むしろ「虐待」だと言われても仕方がないだろう。さらに、

「国民の既存・既成の政党や政治家への不満や不信の高まりの受け皿になったことは事実であろう」

「本音で分かりやすく、捨て身の潔さなど、既成政党も学ぶべきことが多いのではないだろうか」(同)

と古賀氏は言う。が、分かりやすいことは果たして良きことと言えるのだろうか。

《れい新は消費税の廃止を公約の第一に掲げた。「紙おむつからダイヤモンドまで同じ税率なんておかしすぎる」という主張だ》(7月23日付東京新聞社説)

 「紙おむつからダイヤモンドまで同じ税率なんておかしすぎる」というのは何となくもっともらしいのだけれども、ではどのように線引きせよと言うのか。私が軽減税率導入に反対するのもここにある。何が贅沢品かなど決められない。にもかかわらず線引きしようとすれば、圧力団体の綱引きとならざるを得ない。新聞が8%というのはその最たるものである。

 が、線引きが出来ないようなものは廃止してしまえというのは短慮に過ぎるし、税金はないに越したことはないというのでは「大衆迎合主義」そのものである。消費税を廃止すればそれに代わる財源が必要となる。はたまた、歳出を削減しなければならなくなる。そこまで言わなければ「詐欺」だと言うのは言い過ぎだとしても、少なくとも無責任の誹(そし)りは免(まぬか)れないだろう。

 「最低賃金1500円」。非常に分かりやすい。が、このようなことになれば、中小零細企業は採算がとれなくなる。また、おそらくこれだけ人件費が上がれば、単純労働のAI化やロボット化が進み、単純労働者の失業率は上がってしまうに違いない。

 つまり、れいわ新選組が言っていることは、現実の政治には関わることがないことがないがゆえに、無責任に大衆を煽っているだけである。このような無責任な主張を呑気に持ち上げて見せる古賀氏もまた浅慮だと言われても仕方がないのではないか。【続】