保守論客の独り言

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消費増税賛成派も反対派も根無し草(2) ~財政再建派の思い込み増税主張~

《過去の税率引き上げで長期の消費低迷を招いたのを警戒し、与党は「十分な備え」を強調する。増税収入分5兆7千億円に対し、キャッシュレス決済の買い物への5%ポイント還元やプレミアム商品券発行など総額2兆円超を景気対策に充てる大盤振る舞いだ。公明党は飲食料品への軽減税率の導入も実績として訴えている》(711日付京都新聞社説)

 これでは増税しても税収が目減りしてしまい増税の意味合いが薄れてしまう、というかなくなってしまう。制度が複雑になればなるほど経費が嵩(かさ)み、お金の流れも不透明なものになってしまう。軽減税率はその最たるもので、軽減税率を適用するかどうかの線引きは非常に「恣意的」「政治的」である。

 今回消費税率を8%から10%に引き上げたことだけでは明らかに税収不足で、軽減税率などもこれから税率を引き上げるための布石となるものであろう。甘い話には裏があるのである。

《野党は増税に耐えられる景気にないとし、政府・与党の景気対策は、支出が多い高所得者に恩恵が大きいと批判している。立憲民主党は凍結、国民民主党なども中止、反対を掲げ、政権に是々非々の日本維新の会を含め、家計重視を打ち出す。

 代わる財源対策は、立憲民主が金融所得課税や法人税の見直し、共産党社民党が大企業や富裕層に応分負担をと訴える。具体的な実現性や持続可能性について説得力のある説明が求められよう》(同)

 ここにはどのようにして豊かな日本を持続していくのかについての展望がない。ただ目先の状況判断で政府に逆らっているだけである。今の野党に日本の将来像を描いて見せることを要望しても詮無き事なのであろうが、政府与党側にもこの「大きな絵」を描ける、否、描こうとする人物がいないことは寒心に堪えない。

《元来、消費税率10%への引き上げは2012年、旧民主、自民、公明の3党合意で社会保障費の確保と財政健全化の両立を目的に決められた。だが、選挙対策の色濃い2度の延期と使い道の変更で、何のための増税かがかすんでいる》(同)

 増税延期は選挙対策というよりも景気の落ち込みを懸念してのことであろう。社説子は財政再建のために消費増税を主張しているが、そのようなことをすれば財政が緊縮してしまい景気が落ち込むであろう可能性が高い。

 まさか景気が落ち込んでも増税すべきと考えているのではなかろうから、どういうやりかたをすれば増税による景気の落ち込みを防げるのか、そのことを具体的に述べなければ、有効な主張とはなり得ない。(続)