保守論客の独り言

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年金問題は参院選争点になり得るか

産経新聞社とFNNが実施した参院選の中盤情勢調査で、重視する政策・争点を聞いたところ、「年金など社会保障」が40・6%で最多だった。「老後資金2千万円」問題を受け、年金をはじめとする社会保障への有権者の関心が高いことが浮き彫りになった》(産經新聞7/8() 19:44配信)

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 この間(かん)、政府与党が新たな年金制度改革を打ち出したわけでもない。金融庁95歳まで生きれば夫婦で2千万円の蓄えが必要であるとの報告書を提出しただけである。

立憲民主党辻元清美国対委員長11日、夫婦の老後資金として「30年間で約2000万円が必要」とした金融庁の試算について「100年安心詐欺だ」と批判した》(毎日新聞2019611 1247分)

 が、これまで「100年安心」としてきたのは年金制度であって、個々人の老後の生活を指したものではない。辻元女史はこのあたりを知ってか識らずか混同している。

 野党は金融庁の報告でもって政府与党を攻撃するだけで、新たな年金制度案を提示する気はない。そもそも年金制度は各党が勝手なことを言い合うような題材ではない。

 にもかかわらず、否、そのことが分からず、参議院選挙の最大の争点は「年金など社会保障」などという有権者。これは世論調査の取り方の問題でもあるのだろうけれども、有権者が「選挙の争点」とはどういうものなのかが分かっていないということが分かる。

《首相は参院選の争点に憲法改正議論の是非を掲げているが、有権者の関心が高まっているとはいいがたい。自民支持層でも「憲法改正」を重視すると答えたのは7・3%で、公明支持層では2・5%と伸び悩んだ。

 むしろ改憲に反対している野党を支持する人の方が関心が高く、立民支持層の7・8%、共産党支持層の14・4%、社民党支持層の16・1%が重視すると回答した》(産經、同)

 私は、日本人が日本国憲法に縛られた「戦後空間」の中で思考することの問題を幾度となく指摘してきたけれども、安倍首相の主張する、米国の意向を汲んだ憲法改正では、改正と言うよりも「改悪」と言った方がよいだろうから、このような憲法改正議論が争点となるべきだとはとても思われない。

参院選では10月の消費税率10%の引き上げも争点の一つとなっており、賛成の自民、公明に対し、立民など野党は延期や凍結を主張している》(同)

 これも本来話し合われるべき「税と社会保障の一体改革」が棚上げされ、何のための消費増税かが不明な事態に陥ってしまっている感がある。

 野党のみならずマスコミの質の低さが参院選を争点なきものにしてしまっているというのが私の印象である。