古谷経衡(ふるや・つねひら)氏は言う。
《前参議院議員・山本太郎氏が代表を務めるれいわ新選組が、今次参院選挙で約230万票もの得票を集め、国会に2議席を送り出したことは既知のとおりである。選挙後、れいわ新選組に対して「左派ポピュリズム政党」という批評が相次いで取りざたされている。
しかし私はこの批評は全く正しくない、と断言する》(「保守層からも熱視線~れいわ新選組と山本太郎氏~」:yahooニュース7/31(水) 21:30)
というのは、
《れいわ新選組が「ポピュリズム(大衆迎合)」かどうかは兎も角として、この政党を「左派」と安易に決めつけられない客観的状況があるのだ。
実際、NHKの出口調査によると、れいわ新選組の全国比例の得票のうち、自民党支持層からの票は最大で5%とみられている。つまりれいわ新選組が獲得した230万票のうち、約10~12万票は保守層から出力されている》(同)
からだと言うのである。これが事実だとしても、やはりれいわ新選組が<左派>であることに変わりはない。そもそも今の自民党を右派政党と考えるのが間違っているのである。
何をもって右か左かを言うのは簡単ではないのであるが、例えば日本国憲法を試金石として考えれば、日本の平和を守るためには憲法を変えなければならないと考えるのが<右派>であり、変えてはならないと考えるのが<左派>となる。言い換えれば、<右派>は改憲派であり、<左派>は護憲派である。
翻(ひるがえ)って自民党を俯瞰(ふかん)すると、憲法改正発議に必要な3分の2にならんとする議席数を有しているにもかかわらず、一向に話が進まないのは、党としては改憲を言ってはいても個々の議員は護憲派が多数を占めているということなのであろうと予測される。
否、今言われている自衛隊の保有を追記する話は、時代と共に生じた綻(ほころ)びを繕(つくろ)う「弥縫(びほう)策」でしかなく、これを「改正」と呼ぶのは正しくない。
本当の意味での憲法改正とは、自民党の党是でもある自主憲法制定であって、これを主張している人達を<右派>と呼ぶのだとすれば、おそらく自民党であっても極少数でしかないだろう。
だから、自民党支持の票がれいわ新選組に流れたとしてもれいわ新選組が<左派>であることと何ら矛盾しないのである。
《なぜ少なくない保守層はれいわ新選組(あるいは山本太郎氏)に一票を投じたのか。答えは、れいわ新選組の訴える政策が、保守本流の思想に極めて近いものを多く含むからだ》(同)
と古谷氏は言う。が、<保守>という言葉も混乱の多い言葉であって、大きくは日本の歴史伝統を尊重する「真正保守」と、敗戦後、米国によって敷かれた体制を維持しようとする「戦後保守」の2つがある。