保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

参院選:れいわ新選組の議席獲得について(4) ~れいわ新選組が保守と相性が良いというのはこじつけだ~

山本太郎氏が繰り返し主張する対米自立、アメリカの属国状態からの脱却は、古くから「自主独立・対米追従からの脱却」を唱えてきた所謂「反米保守」の世界観とぴったり合う。

親米保守」の傾向が色濃い清和会内閣が森喜朗内閣(2000年-2001年)、小泉純一郎内閣(2001年-2006年)、第一次安倍内閣(2006年-2007年)、福田康夫内閣(2007年-2008年)、そして現行の第二次安倍内閣(2012年-)と、5代約16年間続いているので、自民党の中の「反米保守」はすっかり非主流派になった。

 そして保守論壇でも、故・西部邁氏や小林よしのり氏など、「反米保守」の流れは正統的な保守ではない、とみなされ「親米保守」が約20年間幅を利かせるようになった。が、古くからの「反米保守」は少なくなったが確実にいる。

山本太郎氏の「真の独立国家を目指す」や「日米地位協定の改定」といった訴えは、こうした古くからの「反米保守」の心をつかんだ》(古谷経衡「保守層からも熱視線~れいわ新選組山本太郎氏~」:yahooニュース7/31(水) 21:30)

 が、<反米>は大きく2つに分かれる。1つは、戦後日本の米国隷属に反抗する「真正保守」である。もう1つは、冷戦時米国と敵対した共産主義勢力である。言うまでもなく、れいわ新選組は後者であろう。反米だから保守的とする分析はあまりにも粗雑に過ぎる。

山本太郎氏が唱えたTPP反対や反グローバリズムも保守層の世界観と近似している》(同)

 これも米国的価値観の押し付けに反発する「真正保守」と、米国主導の世界を苦々しく思っている共産主義勢力をごっちゃにしてしまっている。果たして山本太郎氏は米国的価値観の何を問題にしているというのか。

 その他古谷氏は、「国土強靭化」「脱原発」「消費税廃止」といったことを主張するれいわ新選組と保守層の相性が良いと主張するのであるが、はっきりいってこじつけの域を出ない。

「国土強靭化」には京都大学大学院教授の藤井聡氏、「脱原発」には西尾幹二氏、竹田恒泰氏、「消費税廃止」には憲政史家の倉山満氏がいるなどとそれぞれの政策を主張する保守論客を探し出してくるのであるが、ここには保守思想における首尾一貫性はない。

 おそらく山本太郎氏も何か深い思想信条があってこのような政策を打ち出しているのではないのではないか。ポピュリズムよろしく場当たり的に適当な項目を並べているのだとすれば、深読みしても意味がない。

A man is known by the company he keeps(人は付き合う仲間で知られる).

  中核派とのつながりが強いとされる山本太郎氏を推す保守人士は誰かいるのであろうか。【了】