保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

胡散臭い改憲論について(1)

世間では、改憲論を唱えるのは「保守」と見做(みな)されている。が、注意すべきは、日本における保守には、大きく分けて2つの保守が存在するということだ。1つは、日本古来の文化伝統を守ろうとする保守、謂(い)わば「日本保守」、もう1つは、大東亜戦争(太平洋戦争)の敗戦後、占領軍によって敷かれた体制を守ろうとする保守、謂わば「戦後保守」である。この2つを区別せず、どちらも同一に「保守」と呼ぶから話がこんがらがるのだ。戦後体制は、戦前の日本を否定するために占領軍が敷いたものである。したがって、「日本保守」と「戦後保守」の価値観は正反対である。

 所謂(いわゆる)「護憲派」と呼ばれる人達も、戦後体制の象徴たる日本国憲法を護ろうとしているのであるから、これも一応「保守」である。が、護憲を唱える人達の日頃の立ち居振る舞いは、決して保守的ではない。それもそのはず、日本国憲法自体、「フランス革命」に範を求めた「革命(を志向する)憲法」だからである。日本国憲法は、天皇条項を除けば、どこの国の憲法か分からないとしばしば評される。具体的国家、国民、文化、歴史が捨象された、抽象的「観念の体系」、つまり、一種の「イデオロギー」と呼ぶべきものなのである。【続】