保守論客の独り言

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閣僚の「8月15日の靖国参拝」について(3) ~8月15日は「終戦」か「敗戦」か~

8月15日を「敗戦記念日」と考えるものもいる。日本は戦争に負けた。が、大東亜戦争後、亜細亜は欧米の植民地支配から解放され、多くの国が独立を果たしたのである。

《1941年に合衆国と英国を一時的に打ち破ることによって、日本は西方列強が無敵ではないことを実証したし、それによってすべての西方植民地帝国を、早かれおそかれ解体せざるをえなくなる運命に追い込んだのである。その勝利をおさめることによって、日本ははからずも他のアジア諸国民のためになる働きをしたのである》(A・J・トインビー「世界史における日本」:『歴史の教訓』(岩波書店)松本重治編訳、p. 54

 日本国と国民のために勇敢に戦い散華した先人に哀悼の誠を捧げ感謝するのは当然のことである。

 では8月15日に靖国神社を参拝した閣僚は、8月15日を「終戦」と捉えているのか、それとも「敗戦」と捉えているのか。それを判断するための「リトマス試験紙」と言えるのが「憲法改正」に対する態度であろう。8月15日を「終戦」と捉えている人達は得てして憲法改正に慎重である。他方、憲法改正に積極的な人達は8月15日を「敗戦」と捉えているだろう。言い換えれば、終戦派は戦後肯定派であり、敗戦派は戦後否定派ないしは懐疑派である。

 8月15日の参拝はあくまでも「政治的演出」に過ぎず、英霊の勇戦敢闘に「感謝」しているのか、命を奪われた英霊に「同情」しているのかは分からない。

《中国とロシアの外相は16日に電話会談し、菅首相玉串料奉納や閣僚らの参拝を批判した。王毅中国外相は「A級戦犯」を祀(まつ)る靖国神社への参拝は「国際正義への挑戦だ」と反発した。韓国外務省は「深い失望と遺憾の意」を表明した》(8月20日付産經新聞主張)

 ロシアまでも口出しするようになったのは何とも不思議である。ロシアはこんなつまらぬ情報戦を仕掛ける必要がないからである。

 否、そもそもシナやロシアのような「悪の頭目」がどうしてこんなけちな問題に口を挟むのかが分からない。こんな「女々しい」ことを言うのはむしろ日本国内のマスメディアではないか。「中国もロシアも批判しておられますよ」と虎の威を借りて間接的に批判するといういつものやり方である。

《韓国外交省は15日、「深い失望と遺憾の意を表する」とのコメントを発表した。

 同省は「日本の責任ある人々が、歴史に対する謙虚な省察と真の反省を行動で示すべきだ」と主張。そうした姿勢により、「未来志向的な韓日関係の構築や、周辺国の信頼を得ることができる」とした》(朝日新聞デジタル2021年8月15日8時58分)

 何かに付け日本に難癖を付け続けている無礼な国の言うことなど聞く必要はない。自ら反省する時間を与える意味でも無視するのが賢明である。【了】