保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

通常国会閉会について(3) ~北海道新聞社説~

《空前の危機への不断の対処が政治に求められている。国会閉会はその使命を放棄したに等しい》(6月18日付北海道新聞社説)

 成程、不断の対処が政治に求められているのだとしても、国会での<不断>の議論が求められているわけではあるまい。

《安倍首相主催の「桜を見る会」や検察官の定年延長など数々の疑惑や問題を抱え、野党の追及から逃れたい思惑は明らかだ。

 国政を預かる者としての責任感より、政権の保身を優先させた身勝手な国会の幕引きである》(同)

 こんな議論そっちのけで政権を批判することにしか目の無い国会など閉じた方が余程<不断の対処>がうまくいくだろう。

《振り返れば、感染拡大に追いつかないPCR検査や、生活・経営支援の遅れや不十分さが国会で指摘され、改善されたものもある。

 対象範囲が狭い30万円の給付から一律の10万円支給に変更した特別定額給付金などはその一例だ》(同)

 果たして<一律の10万円支給>は<改善>と呼ぶようなものなのか。五十歩百歩ではないか。限られた予算をどのように配るのかということになってしまっているのが問題なのであり、MMT(現代貨幣理論)も言うように(私は「政府通貨発行権」と言ってきたが)、当座の資金はいくらでも調達できる。このことを理解しないから「みみっちい」話になってしまうのである。

《持続化給付金や観光需要を喚起する「Go To キャンペーン」は不透明な外部委託の在り方が野党の追及を受けた。引き続き解明に当たる必要がある》(同)

 確かに、「Go To キャンペーン」には疑問なところがある。が、それは記事のような話ではない。

 そもそもの問題は日本が観光立国を目指すなどという政策を推進し、観光産業を必要以上に肥大化させてきたことにある。海外からの旅行者を当てにした商売の危険と、観光地のみならず日本が荒らされていくことに私は納得できない。観光立国政策自体の見直しを図ることが必要だと考える。

《安倍政権は、今後は第2次補正予算に計上した10兆円もの巨額予備費で対応に当たると言う。

 政府に白紙委任するような予備費が効果のない政策に使われ、支援が必要なところに行き渡らない。そんな危うさを否定できない》(同)

 反安倍政権の人達が安倍政権に白紙委任することを嫌うのは仕方のないことだけれども、現在のような不確かな状況において、一般に政府が自由に使えるお金を持っていることは悪いことではない。勿論、使途について問題があれば次の国会の場で白黒つければよいだけの話である。

《検証と反省は、経済活動を正常に戻しつつ感染の再拡大に対処する上で必須の作業のはずだ。

 だが首相は検証は収束後に行うと繰り返している。それでは全く遅い》(同)

 <全く遅い>とする根拠は何か。コロナ禍が収束する前に検証することなどどうして可能なのか。何でもかんでも文句を付ければよいというものではない。【続】