保守論客の独り言

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WHO新型コロナウイルス「パンデミック」表明について(2) ~マスコミの中国への忖度?~

《ここまで感染が広がったのは、WHOの認識の甘さが原因だ。中国での新規感染者数の減少などを理由に「まだパンデミックではない」と言い続けてきた。

 日本政府の対応が後手に回ったのは、WHOの初動の遅れが影響したからとの声も出ている。今後、各国からの非難は免れまい》(3月14日付徳島新聞社説)

 WHOの対応の拙さを指摘している新聞もシナを慮(おもんぱか)ってか少ない。それどころか、

《2009年に新型インフルエンザが流行した際、WHOは早期にパンデミックを宣言したものの、かえってパニックをあおる結果になったと批判された。今回、WHOが慎重だった背景には、こうした事情があったのだろう》(3月13日付読売新聞社説)

などとWHOを擁護する始末である。

《WHOは折に触れて見解を出してきたが、司令塔機能は不十分だった。1月下旬の緊急委員会では中国以外でも感染者が出始めていたのに、各国に強力な措置を求める緊急事態宣言を一度見送った。今回も110以上の国・地域で感染が広がり、イタリア全土に移動制限が発令される事態になるまで決断しなかった。

 2009年には、新型インフルエンザの感染拡大を踏まえてパンデミックを宣言したが、症状が想定以上に軽く批判を浴びた。その経験から今回、慎重になった可能性もある。ウイルスに未知な部分が多いとはいえ、初期段階での過小評価が各国の初動を遅らせた責任は重い》(3月13日付毎日新聞社説)

と考えるのが妥当だと思われる。毎日社説でもここまで書いているのに、読売社説の姿勢は危うい。

《WHOのテドロス事務局長は、今回のパンデミックは制御できるとの見解を示した。ただ、これまでの対応を見る限り、説得力を感じられない。

 情報隠蔽を重ねてきた中国政府と歩調を合わせてきたのがWHOだ。感染拡大を招いた責任の一端があることを猛省しなければならない》(3月13日付産經新聞主張)

 中国の後ろ盾があればこその事務局長でありWHOであるから、情報の隠蔽(いんぺい)や改竄(かいざん)に手を貸すことはあっても、<猛省>のもの字も念頭にないに違いない。

《オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が「中国当局による隠蔽で世界の対応が2カ月遅れた」と批判したのは理にかなっている。本当に中国で流行のピークが過ぎたのか。天安門事件新疆ウイグル自治区での弾圧をなかったことにしてきたのが中国政府だ。その対外発信を鵜呑(うの)みにはできない。

 WHOは中国政府寄りになっている。ここは、日米など先進7カ国が協力して専門家からなる調査団を中国に派遣し、実態を見極める必要がある。圧倒的に感染者数が多いのは中国である。その正確なデータを共有できなければ有効な手を打てない》(同)

 シナの正確なデータを待っていては埒は明かない。勿論、正確なデータを出すように圧力を掛け続けなければならないが、別の方策を考えることの方が得策ではないか。【続】