保守論客の独り言

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WHO新型コロナウイルス「パンデミック」表明について(3) ~安心できる情報こそ必要だ~

《急ぐべきは、感染を確認するPCR検査の拡充と、感染者の増加に備えた医療体制の整備である。ともに立ち遅れが指摘されている。「日本の感染者数が比較的少ないのは、十分な検査をしていない結果ではないか」という、市民の不信や不安を早急に解消すべきだ》(3月13日付西日本新聞社説)

 が、PCR検査を徹底した韓国やイタリアが医療崩壊した例から、むしろPCR検査は抑制すべきだということに潮目が変わりつつある。

《日本感染症学会・インフルエンザ委員会委員長の石田直医師は、次のように語る。

コロナウイルスPCR検査の感度、特異度は明らかにされてはいないが、偽陰性偽陽性もあり得ます。つまり、軽症や無症状の人に対しても広く検査を行うことは、偽陽性者の絶対数が増えることになり、感染率がいまだ低い現在の状態では、陽性的中率が低下します。すなわち、罹患していないのに検査で陽性となる人が増えるわけです。

 そうすると、これらの人たちは必要ない隔離等を強いられることになります。現在では、陽性者は措置入院になるので、すぐに病院のベッドが埋まってしまって、重症者を受け入れられなくなります。そもそも、軽症の人は診断されても治療がありません。いずれは自宅待機になるでしょう。

 限られた医療資源を活用するためには、検査前確率の高い濃厚接触のある有症状者や肺炎例に限って検査を行うほうが合理的です。このような考え方は、臨床に携わっている医師や専門医の共通した認識です」(「新型コロナ、PCR検査抑制は日本政府の英断か…徹底的な検査で医療崩壊したイタリアと韓国」:Business Journal 2020.03.11 19:10)

 国民が不安を抱くとすれば安心できる情報が不足していることではないか。高齢でなければ重篤に陥る危険性は低いということ、さらに軽症であれば、家で安静にしていれば治(なお)るということ、このことが伝わっていないことが問題なのである。

《WHOは渡航制限について「効果的でなく、乱用すべきでない」とする。それでも個別に制限を打ち出す国は多い。日本の対応に韓国が反発。米トランプ政権が英国を除く欧州からの入国停止を発表すると、欧州から「政治的決定だ」と非難の声が出た。

 欧州連合(EU)も揺れている。感染拡大が深刻なイタリアの周辺などから国境管理の復活を主張する声が上がる。域内の自由な移動はEUの基本理念だ。ドイツやフランスは反対している》(3月13日付信濃毎日新聞社説)

 パンデミックに陥っている中で<域内の自由な移動>など有り得ない。<EUの基本理念>を守ってEUが滅んでしまっては元も子もない。【了】