保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

「記述式」導入は大学入試改悪だ(2) ~おかしな改革をごり押ししているのは誰だ~

採点を民間会社に丸投げするのも問題である。

《受験が想定される50万人規模の解答を短期間で採点するには1万人程度の人員が必要だという。このため採点業務はベネッセコーポレーションのグループ会社に全て委託することになっている》(11月13日付西日本新聞社説)

 が、採点の精度は保証されない。

《昨年の調査では、国語で0・3%の採点ミスがあった。50万人で考えると1500人分でミスが発生したことになる。公平性に大きな疑問符が付く調査結果と言わざるを得ない。

 さまざまな表現があり得る記述式の解答を、1万人もの人が同一基準で公平に採点できるのか。採点にはアルバイトを使う計画もあり、本番ではさらにミスが増えるのではないか》(同)

 完全なミスとまでは言えないがグレーゾーンのものも少なくないに違いない。同じ答案であっても、A会場の採点とB会場の採点が違っているなどということがあるやもしれぬ。入試の採点業務に携わったことがある人なら、とても50万人の答案の公平性を保つことが出来るなどとは思わないであろう。

《試行調査の国語の問題では、正答とみなす基準が細かく定められた。それを徹底すれば採点のぶれはある程度抑えられるだろうが、記述式本来の目的からは離れていく》(11月13日付毎日新聞社説)

 素人考えで制度をいじくるからこんなことになるのである。

《情報漏れを危ぶむ声もある。準備のため、業者に事前に設問や正答例を示すことになっているが、それで試験の公正公平が保てるかとの懸念だ》(11月15日付朝日新聞社説)

 事前の問題もあるが事後の問題もある。採点の実態をベネッセが独占する形でよいのだろうか。

 こんな出来ない事、やる必要の無い事をごり押ししているのは一体誰なのか。

《政治主導の入試改革の背景に官民癒着があるのではないかという疑念が、記述式への批判を増幅している側面もある。英語の民間試験を巡る国会での議論の中で、試験の実施団体の一つであるベネッセの関連法人に旧文部省や文部科学省の幹部らが再就職していたことも明らかになった。記述式の採点はベネッセのグループ会社が約61億円で受託している》(11月16日付東京新聞社説)

 私は、おかしな改革を打ち出しては反省もなく取り下げる厚顔無恥文科省など不要ではないかと思っているのだけれども、そこに「天下り」を含めた「癒着」があるのだとすれば、メスを入れ、膿を出し切る必要もあるのではないだろうか。【了】