《新年度から始まる大学入学共通テストで、国語の問題作成に携わる複数の委員が民間出版社から対策問題集を出版していた。
同じ人間が試験問題も対策本も、では試験の公正さを疑われるのは当然だ》(2月23日付北海道新聞社説)
当該委員も大学入試センターも認識が甘過ぎる。大学入試問題作成者自身が対策本を出すなどということが許されるはずがない。
《センターは「社会的な誤解を招く行為」と認めたが、詳細は説明せず、新年度の共通テストへの影響はないと一方的に結論づけた。
こんな対応では、受験生の不信感は到底拭えまい》(同)
「揉み消して終わり」ではないだろう。少なくとも、今後二度とこのようなことが起こらないように規定を作成し提示することが必要である。
《昨年夏に刊行された問題集は、10の例題について正答条件を細かく解説したもので、受験生には待望の一冊だっただろう。
執筆者は大学や高校の教員で、うち複数が共通テストの国語の問題作成に携わっていたという》(同)
自ら作った大学入試問題を自らが解説した方法で解答させようとしているわけで、これがおかしいと思わない作成者は「常識」というものが欠落しているのではないか。
《委員が特定されれば問題を類推される恐れがあるとして、事実関係を説明していない。問題集は第1回テストの内容を類推できる情報を含んでおらず、利用者が有利になる情報はないともいう。
だが、入試の問題作成に携わる人がつくった問題集には、出題の傾向や狙い、正答条件が反映されるとみる人は多いだろう。公正性への疑念を晴らすのは困難だ。
文科省は、先に問題集の執筆依頼があり、その後に作問委員に就任したと、委員らの問題集への関与を事実上認めた。
問題集の執筆を引き受けながら作問委員に就任したこと自体が不見識だが、これを明確に禁じる規定がなかった点は理解に苦しむ》(同)
<委員が特定されれば問題を類推される恐れがある>というのは反対であろう。委員を特定し、対策本も撤収するのが本来ではないのか。
《昨年、共通テストの試行調査で記述式問題の採点関連業務を受託した民間業者が、PR資料に受託の事実を記載して営業活動をしていたことが問題となった。
民間の活用や相互の適切な情報交換を否定するつもりはないが、結果的に受験産業に利用されては、教育全体の信頼を損ねることも十分認識してもらいたい》(2月25日付産經新聞主張)
日本人の「倫理」や「道徳」の水準が低下していることが大本(おおもと)に有るような気がする一事であろう。