保守論客の独り言

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国連気候サミット:トゥンベリ怒りの演説について(3) ~温暖化 vs 寒冷化~

《16歳の少女の抗議を、世界の指導者たちは誠実に受け止めなければならない》(9月25日付毎日新聞社説)

 <受け止めなければならない>理由は何か。少女の置かれた境遇とか、少女の個人的な体験といった少女にしか分からないことであれば、耳を傾ける必要もあるだろうが、地球温暖化の話は少女からわざわざ聞かなくてもみんなが知っていることである。

《国連の気候行動サミットで、スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんが、各国の気候変動対策の不十分さを痛烈に批判した。「状況を理解しながら行動していないあなた方は邪悪だ」と、時に涙をにじませながら訴えた》(同)

 対策が不十分なのは、まず地球温暖化仮説が仮説の域を出ない話でしかないからである。もしこの仮説が絶対的に正しいのならもっと本気でこの問題に取り組むであろうが、如何せん現実のデータの切迫感はなく、あるのは2100年といった遠い将来の危機予測だけである。反響を高めるために、誇大に危機を煽っている印象がどうしても拭えない。

《グレタさんは昨年8月、独りで抗議行動を始めた。スウェーデン政府に取り組みの強化を求め、金曜日に学校を休んで国会前に座り込んだ。その姿が若者の共感を呼び、学校ストライキは世界に広がった。サミット直前の20日には、世界で400万人以上が参加したとされる》(同)

 地球温暖化仮説が実証されたのであれば、どうして対策を打たないのかと子供であっても抗議することはあるだろう。が、問題はこの仮説は研究費欲しさの科学者と、優位欲しさ途上国や環境保護団体との合作であり、仮説は極めて政治的だと言える。そして今回の少女の訴えも優れて政治的である。

《今回のサミットでグレタさんは、各国首脳が関心を寄せるのは「お金や永続的な経済成長というおとぎ話」と断じた。「(対策に失敗すれば)その結果と生きていかなくてはならないのは私たちです」とも述べた。破局を見ずに済む大人世代とは比べものにならないほどの危機感が、今の若者たちにはある》(同)

 地球の気候変動を50年や100年単位で考えることは軽率である。大人世代は破局を見ずにすむが、子供世代は破局を見ることになるなどと言うのは「終末論」の類と同じである。

《健やかな地球を子孫に引き継ぐことに異を唱える人はいない。そのためにどのように行動するかが問われている。大人には、若者の申し立てに応える責任がある》(同)

 <健やかな地球>って何だと私などは思うけれども、<地球温暖化>を本気で止めようとするのなら、人間が地球からいなくなるのが一番である。少なくとも、産業革命以降、人間の生活が豊かになることによって二酸化炭素排出が増加したのであれば、生活水準を目一杯下げることが避けられない。

《大気中のCO2濃度は産業革命以後に急激に増加したのだが、地球の気温はそれ以前から大きく変動していた。過去2000年間の変化を見ると、気温は西暦1000年前後の極大(中世温暖期)と1700年前後の極小(小氷河期、マウンダー期)を経て、いま再び中世温暖期とほぼ同じレベルに到達し、頭打ちになっている。またマウンダー期は寒暖の差が激しくて、とくに寒冷な時期が何度も訪れたことが記録に残されている。

 この気候変動が太陽黒点数(太陽活動の目安)と強い相関を示すことは以前から知られていたが、最近の太陽と惑星空間物理学の進歩によって太陽活動が地球の気候を左右する機構がようやく理解されつつある》(深井有「地球はもう温暖化していない」https://yab.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20151109.html

 地球環境学者は温暖化すると言い、宇宙物理学者は寒冷化すると言う。少なくともそのことが分かった上で批判すべきである。【了】