保守論客の独り言

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女性天皇と女系天皇(1) ~女性天皇賛成の世論~

女性天皇とは文字通り女性の天皇であるが、女系天皇と違って男系天皇の中での中継ぎ的存在である。一方、女系天皇とは、配偶者の男性が天皇家とつながりがないもので、女系天皇となってしまえば、皇室と無縁の男子が皇室に割り込み、男系を遡れば天皇家と無縁の家系にたどり着くなどということになって、皇室が権力争いに巻き込まれかねないのである。権力から遠ざかればこそ皇室に「権威」が保たれるのであるから、男系天皇の伝統は絶対堅持せねばならないのである。

 したがって、女性天皇は認められても女系天皇は認められない、このことが十分理解されないまま女性天皇を認めるか否かを国民に問うのは危険である、というか誤りである。

共同通信社が1、2両日実施した全国緊急電話世論調査によると、即位された天皇陛下に82.5%が「親しみを感じる」と回答した。「親しみを感じない」は11.3%にとどまった。皇室典範で「男系男子」に限るとした皇位継承を巡り、女性天皇を認めることに賛成は79.6%で、反対の13.3%を上回った》(共同通信社 2019/05/02 18:36)

 左翼共同通信社世論調査ですら82.5%もの人が新天皇陛下に「親しみを感じる」と回答しているのは、天皇制廃止を願う人たちには目の上のたんこぶでしかないであろう。が、女性天皇を認める人が、おそらくは男女同権思想の影響であろうが、79.6%もあることには注意が必要であろう。

 最右翼の産経新聞世論調査も同様の結果が見られる。

《皇室の在り方に関して、男系継承の伝統を変えることになる女系天皇に賛成が64・2%、女性皇族が結婚後、宮家を立てて皇室に残り皇族として活動する「女性宮家」の創設についても賛成が64・4%に達した。反対はそれぞれ21・4%、16・3%。女性天皇に賛成は78・3%、反対は13・1%だった》(産経新聞ニュース 5/13(月) 11:52配信)

 そして驚くべきは、多くの回答者が女性天皇女系天皇の違いを理解していると答えていることである。

女性天皇女系天皇の違いについては「よく理解している」が10・6%、「ある程度理解している」は33・4%。「あまり理解していない」は31・6%、「全く理解していない」は20・3%で、合わせると半数を超えた》(同)

 世論調査に一喜一憂しても詮無きことであるが、それにしても4割以上の人が大した情報もないにもかかわらず女性天皇女系天皇の違いを理解しているとあっさりと答えているのは驚くしかない。

 が、そもそも天皇とは何か、そしていかなる存在であるべきか等々を考究したことがないであろう人たちにこのような調査を行ってどういう意味があるというのだろうか。【続】