保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

小4女児死亡事件における教育委の対応について(1) ~責任感も覚悟もなき大人たち~

《自宅で死亡した千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さんは、父親の栗原勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=の「いじめ」について、学校のアンケートで必死に助けを求めていた》(朝日新聞デジタル 20191312151分)

 死に至らしめたのであるから、これは「いじめ」というより「虐待」と呼んだ方がよい事案である。

 女児は明確なSOSを発していた。それを看過できないと思ったからこそ学校は対応したのであろう。

《心愛さんの回答を受け、学校はすぐに市教委へ連絡。県柏児童相談所は、回答内容などから虐待の可能性が高いと判断し、アンケートを行った翌日の117日から1227日まで、心愛さんを一時保護した》(千葉日報社 2019/1/31 22:47

 が、

《「市や親族らのサポートを得られる見込みになった」として、保護を解除した》(21日付東京新聞朝刊)

 解除の理由が甘い気もするが、親の解除要求を拒否できるほど児童相談所の立場は強くはないであろうから仕方がない。問題はこの後である。

《一時保護の解除後に行われた三者会談で、勇一郎容疑者は出席した校長や担任、市教委職員らに「名誉毀損(きそん)」「訴訟を起こす」「異議を申し立てる」などと威圧的態度で主張。アンケートの閲覧と複写を要求し、「家族を引き離された気持ちが分かるか」「解除はもう暴力がないということだろう」などとどう喝したという。

 厳しい要求に押し切られるように市教委は児相に連絡せず、独断で渡した。担当者は「重篤な危機感がなかった。渡すことで(心愛さんに)どのような影響があるか引っかかったが、(父親の)恐怖で追い詰められていた。私の判断で、守れる命を守れなかった。取り返しのつかないことをした」と悔いた》(千葉日報社、同)

 学校も市教委も責任感もなければ覚悟もない。いじめアンケートに書かれていた「ひみつをまもりますので、しょうじきにこたえてください」という言葉はこれほど軽いものなのか。アンケート開示は市の条例違反という話もあるが、そんなこと以前に先生と児童の信頼関係を明らかに毀損(きそん)している。こんな状態で果たして教育は成り立つのであろうか。

 大人が子供の心の中に中途半端に介入することなど許されない。責任感も覚悟もないのなら、最初から学校はこのようなアンケートを実施してはならないし、責任機関として教育委員会などという看板を出さぬことであるし、子供を守る覚悟のない人間は児童相談所の職員にならぬことである。【続】