保守論客の独り言

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衆院選自公過半数割れについて(13)産經主張

衆院選で大敗を喫した石破茂首相(自民党総裁)が28日の記者会見で、引き続き政権を担う意欲を示した。

 自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを割り込む大敗の責任をとらずに、石破首相が政権に居座ろうとするのは信じがたいことだ。責任をとって潔く辞職すべきである》(2024年10月28日付産経新聞主張)

 選挙結果を見れば、辞職するのが当然である。が、恐らく石破氏本人が厚顔無恥であるというよりも、次の総裁が高市女史になっては困るから、辞めるに辞められないということなのではないか。

 高市女史が首相になれば、岸田政権時の悪事が暴かれかねない。その最大のものは、安倍元首相の暗殺であるが、移民政策と岸田氏実弟の会社との関係、太陽光発電河野太郎一族との関係、男女共同参画をはじめとする社会主義的予算配分、あるいは、ウクライナをはじめとする海外ばらまき支援といったものすべてに「利権」が絡んでいるのではないかと疑われるのである。だとすれば、絶対に反岸田的な人物に政権を取られては困るということになる。

《石破首相は会見で、衆院選の審判を「真摯(しんし)に厳粛に受け止める」と語った。だがその言葉とは裏腹に、「国政の停滞は許されない」と繰り返し、「安全保障、国民生活、災害対応に万事遺漏なきを期すことも私どもが負うべき責任だ」と述べた。

 そこには反省が感じられない。国民は衆院選で石破首相に国政運営を託したくないという判断を示した。それがなぜ分からないのか。

 有権者の審判を無視するトップが政権の座にとどまろうとして国民の支持を得られると思うなら甘すぎるし、民主主義から外れている。全ての自民国会議員は、石破首相の続投こそが、国政の停滞を招くと知るべきである》(同)

 たとえ国政が停滞しようが、自民党が衰退しようがお構いなし、自分たちの悪事が暴かれなければそれでよい、ということなのではないか?

《石破首相は、第1次安倍晋三政権時の参院選で自民が大敗し「ねじれ国会」となった際に、続投を表明した安倍首相を攻撃した。党総務会で「(安倍)首相は『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』と訴えたのに、どう説明するのか」と非難した。代議士会では「首相は『反省すべきは反省する』といっているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」と責め立てた》(同)

 ここに石破茂氏の本質が見られるだろう。「他人には厳しく(自分には甘く)」ということだ。

《第1次安倍政権下、2007年の参議院選挙で自民党が大敗し、安倍が続投の方針を表明した時…石破は、党の総務会で「選挙に負けたにも関わらず、続投するのは理屈が通らない」と公然と安倍の辞任を求めた。

 「『続投するならそれなりの説明が必要でしょう』》(佐久間慶介「『大臣就任断り激怒させた』ライバル 石破茂が語る安倍晋三」:2022年8月15日付NHK政治マガジン)

 ここまで言った人間なら、自分も選挙に負けたのだから、辞めて当然である。が、辞めないということは、自分の発言は無責任だと言っているに等しい。

《同じことを石破首相に問いたい。28日の会見で「自民党は心底から反省し、生まれ変わらなければならない」と語ったが、トップである自身がまず責任をとるべきだろう》(同)

 否、反省すべきは、今回のような形で総選挙に持ち込んだ、岸田前首相や石破新首相をはじめとする、党内の旧安倍派憎しの人達ではないのか。

麻生太郎政権時に農林水産相だった石破首相は、事実上の退陣を迫ったこともある。過去の言動との整合性がなければ、石破首相への信頼は集まらない。首相の言葉は限りなく軽いものとしてしか受け取られまい》(同)