保守論客の独り言

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日本学術会議人事について(4) ~御飯論法返し~

《発足翌年の50年と67年には「軍事目的の科学研究を行わない」とする声明を出し、3年前にも継承する見解をまとめた》(10月3日付朝日新聞社説)

 が、甘利明衆院議員は自身のHPで日本学術会議二重基準を批判する。

日本学術会議防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には積極的に協力しています。他国の研究者を高額な年俸(報道によれば生活費と併せ年収8,000万円!)で招聘し、研究者の経験知識を含めた研究成果を全て吐き出させるプランでその外国人研究者の本国のラボまでそっくり再現させているようです。そして研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けています。中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか》(8月6日付国会リポート第410号)

 が、日本学術会議側はこれを否定する。

日本学術会議の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、中国の軍事研究への協力について「そのような事業、計画などはありません」と明確に否定した。

 また、「千人計画」ついても「学術会議として、計画に協力したり、交流したりするようなことはしておりません」と同様に否定した》(BussFeed News JP 10/9(金) 11:33配信)

 私にはこれが安倍政権を批判するために言われた「御飯論法」のように聞こえてしまう。「御飯論法」とは一種の逃げ口上である。 「朝御飯を食べたか」という質問に、パンは食べていても、「御飯は食べていない」と答えるといった論点をずらして回答をはぐらかす手法とされる。副助詞の「は」を「対比」の意味でとるわけである。

日本学術会議と中国の関係についていえば、中国科学技術協会との間に2015年に「協力覚書」を結んでいる。 この協会はあくまで「非政府」の民間組織であるが、政府に答申などをする役割も担うなど関係は深い。そもそも中国は一党独裁体制であることからも、この協定そのものが「軍事研究への協力だ」とする言説もある》(同)

 「協力覚書」は結んでいるが<軍事研究への協力>していない。ではどのような「協力」をしているというのであろうか。軍事研究としての協力していないが、軍事転用可能な研究協力もあるのではないかと疑われる。そもそもシナがわざわざ日本と非軍事に限定した研究協力などするはずがないではないか。

《事務局によると「実際の事業は覚書が結ばれて以降、行われていないのが実態です」と語った。そもそも学術会議の予算面の問題から、国際的な研究プロジェクトなどを実施することは、中国以外の国ともできていないという。 つまり、軍事研究や千人計画以前に、学術会議として他国との間で「研究(計画)に協力」しているという事実がない、ということだ》(同)

 これも<日本学術会議>として協力していないということであって、会員が個別に協力していることまでを否定しているわけではない。実際、米国でスパイ容疑が掛けられたファーウェイに関わる人物が会員として名を連ねている。

【続】