保守論客の独り言

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日本学術会議人事について(5) ~学術会議がなくなっても学問の自由はなくならない~

日本学術会議大西隆・元会長は言う。

《微細なプラスチック片が分解されずに海に滞留し、摂取した魚、さらに人に害を及ぼすから、プラスチックの利用を大幅に削減しようというキャンペーンが、レジバッグ有料化やマイバッグ携帯につながった。このきっかけの1つは学術会議が海外の学術会議と手を携えて行った提唱であった》(東京新聞2020年10月8日06時00分)

 が、レジ袋を有料にしても海洋のプラごみ問題が改善されるわけでもない。シナがプラごみを大量に投棄することをやめさせるのが何よりも先である。レジ袋有料化は消費者も店側も誰も望まない愚策である。にもかかわらず、自慢げに言う大西元会長がいかに浮世離れしているかがこの一文からも知れる。

《2011年4月「東日本大震災への第3次緊急提言」では、復興財源として日銀引受を否定し、復興増税を勧めた。実際に、この提言は民主党政権で実行され、災害時に増税という経済理論にも反し古今東西見られない悪政が行われ、多くの人が今でも苦しんでいる》(高橋洋一「問題だらけの「日本学術会議」は、今すぐ「民営化」するのが正解だ」:10月5日付現代ビジネス)

 国のためになっていない、それが日本学術会議という組織である。

《学術会議は多様な専門を持つ会員がそれぞれの専門を生かしながら議論する場で、会員は政治的な主張を戦わすわけではない…総理にはこのことを理解して、多様性を認め、国内の最先端の学者の議論の成果を種々の政策に生かしてほしいと思う》(東京新聞、同)

 政治的な主張を戦わしているわけではないのに、政治的発言をし行動するのはなぜか。奈良林直・北海道大学名誉教授は国家基本問題研究所HPに​「【第724回】学術会議こそ学問の自由を守れ」​と題する直言を掲げた。

《北大は2016年度、防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募し、微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らすM教授(流体力学)の研究が採択された。この研究は自衛隊の艦艇のみならず、民間のタンカーや船舶の燃費が10%低減される画期的なものである。このような優れた研究を学術会議が「軍事研究」と決めつけ、2017年3月24日付の「軍事的安全保障研究に関する声明」で批判した。学術会議幹部は北大総長室に押しかけ、ついに2018年に研究を辞退させた》(2020.10.05 (月))

中央省庁等改革基本法に基づく2003年2月総合科学技術会議の最終答申「日本学術会議のあり方について」では、「設置形態については、欧米主要国のアカデミーの在り方は理想的方向と考えられ、日本学術会議についても、今後10年以内に改革の進捗状況を評価し、より適切な設置形態の在り方を検討していく。」とされている》(同、高橋洋一

ということだから、この際、廃止すればいいだけである。無くなって困るどころか、お金も浮くし、権威に胡坐(あぐら)をかき、反権力を装った批判も無くなるのだから万万歳である。

《このままでは学者が萎縮し、自由な研究や発信ができなくなるおそれがある。今回の措置に対し、「学問の自由を保障する憲法に反する行為」との声があがるのも当然だ》(10月3日付朝日社説)

 憲法に言われる「学問の自由」と日本学術会議の会員になるかどうかとは何の関係もない。そんなことはこの団体を無くしてしまえば明らかである。日本学術会議が無くなっても、各学者の権威が薄れ、政治的発言の後ろ盾がなくなったとしても、「学問の自由」は何ら侵害されることはない。

 東京外国語大学の篠田英朗教授は自身のツイッターで次のようにつぶやいた。 【了】