保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

「アイヌ新法」について(2) ~利権誘導の危ない臭い~

先住民族」とは、日本ではただ「先祖」的な意味しか感じられないかもしれないが、世界的に見れば、米国のネイティブアメリカンや豪州のアボリジニのように、後から侵入してきた者たちによって「父祖の地」を奪われた被害者という意味合いが強くなるのではないだろうか。

 アイヌを巡る問題の焦点も、アイヌを「父祖の地」を強奪された被害者と国が認定するかどうかという点にある。が、このことが学術的に検討されたことも、国会で議論されたこともおそらくはない。にもかかわらず日本はアイヌの人たちを抑圧し搾取してきたことを認めるかのような法律を通そうとしているのである。

 閣議決定され今国会に提出された「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」の総則には、

アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする

と書かれている。が、最大の問題は、明確に「アイヌ」と呼べる集団もなければ基準もないということである。このような状況では「アイヌ」を政治的に作り出して、そこに利権を与えるかのようなことになりかねない。

 アイヌが本土の人たちと交わることで自然に消滅していったのであれば、政治的に無理をしてまでこれを止めることはない。が、シナのチベットや新疆ウイグルのごとく、本土の人たちがアイヌを弾圧浄化したというのであれば、出来得る限りこれを保護するのが正道(せいどう)というものであろう。

 本土人先住民族アイヌを弾圧浄化したという確固たる証拠もなく漠たる「アイヌ」を保護する「逆差別法」が出されるのは、自民党左傾化している証左である。

小林よしのり  わしはそもそも民族主義というものが嫌いなのね。それを言い始めたら「わしは熊襲じゃない?」とか「いや、隼人じゃない?」「朝鮮系かもしれない」とかキリがない。でもそれは今、全部和人に包摂されているわけでしょ? 何で括るかといったら「国民」しかないのよ。それなのに「自分は和人ではない、アイヌ民族だ」と言うからには、何をもってそう言うのか? もはや姿も違う、風習も違う、アイヌ語もしゃべれないのに。

香山リカ  佐藤知己氏の論文「アイヌ語の現状と復興」には、「アイヌ語話者の正確な人数を知ることは極めて困難である」とあります。なぜ出てこないかというと、差別されるから隠している方が多いんです。

篠田博之「国会提出のアイヌ新法をめぐる小林よしのり香山リカ両氏の激しい論争の中身」:2/11(月) 19:45)

 <差別されるから隠している>などという話を信じられるほど私は初心(うぶ)ではない。【了】