一燈照隅(池内昭夫の日記)

~天邪鬼(あまのじゃく)の独り言~

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■三木清『人生論ノート』論  5/2(1)「100分de名著」の偏見  5/8(2)幸福論を抹殺したカント  5/15(3)哲学書だからこそ難しい  5/22(4)偏見による幸福と成功の誤読  5/29(5)真の幸福と神  6/5(6)虚栄と虚無   6/15(7)神の怒を思へ! NEW

稲田元防衛相は保守ではなくリベラルである(1)

以前なら「右」「左」と呼ばれていたものを最近は「保守」「リベラル」という言葉に置き換えて、つまり、「正体」を隠して語ろうとするのが流行りである。そのこともあって何をもって「保守」「リベラル」というのかが混乱してしまっている。

 日本の場合、敗戦によって歴史・伝統に断層を生じてしまっているがゆえに、昨今では特に若い人達を中心に自民党が「リベラル」で共産党が「保守」のように見る人たちも少なくないようである。確かに、戦後だけをみれば、日本国憲法を基本とした戦後体制を頑なに守ろうとしているのが共産党をはじめとする「左寄り」の人達であり、戦後体制を変えようとしているのが自民党をはじめとする「右寄り」の人達である。

 が、問題はその変える向きである。当初安倍政権は「戦後レジームからの脱却」と言っていたために誤解を招きがちであるが、現在は敗戦によって変革された戦後日本の綻(ほころ)びを繕(つくろ)おうとしている、つまり「戦後レジームの強化完成」を目指していると言うべきである。そのことは、これから議論の俎上に乗せられるであろう「現行の憲法9条は残し、新たに自衛隊憲法に明記する」という改正の仕方に如実に現れている。

 戦後という一部分だけをみれば、共産党が「保守」で自民党が「リベラル」に見えてしまいかねないが、日本全史からすれば、今の政治は自民党から共産党に至るまで「オールリベラル」ということになるだろう。が、戦後の枠組みの中でしか物事を考えようとせず、戦後の価値観に異議を申し立てようものなら袋叩きにして潰してしまうようなやり方は、「寛容」と「啓蒙」を旨とする本物の「リベラル派」には失礼な話でしかないだろう。

 自民党稲田朋美元防衛相は言う。

《LGBT問題に取り組むのはリベラルというイメージがあるので、保守政党にはふさわしくないという反発が根強いのでしょう。家族制度を破壊するといった危機感もあると思います。私も伝統的な家族の価値観には重きを置いています。でもLGBTの問題は、歴史認識イデオロギーとは関係なく、人権の問題だと考えています》(「多様性尊重が保守の本来 杉田さん議論しよう」:朝日新聞DIGITAL 10/02 07:13

 このように<人権>なる左翼用語を前面に押し出して物事の白黒を色分けしようとする政治家は決して「保守政治家」とは言われない。「保守政治家」は「権利」の源をただ人間であることに求めず、先祖代々から受け継がれた継嗣財産として考える。つまり、「人間の権利」ではなく「国民の権利」として権利を捉えるということである。【続】