保守論客の独り言

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自衛隊合憲論と違憲論

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に実施した合同世論調査では、67.1%が自衛隊は合憲と回答する一方、違憲だとの答えも22.1%あった。内閣府の調査では9割が自衛隊を評価している中で、国民の一定数が憲法9条自衛隊の存在の整合性に納得しておらず、違憲論が依然、根を張っている現状を表している》(産經新聞 9/18() 21:48配信)

 憲法9条には次のように書かれている。

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 自衛隊が合憲だということは、自衛隊は9条2項に言う<陸海空軍その他の戦力>に当たらないということである。が、自衛隊が<陸海空軍その他の戦力>でないとすれば一体何なのか。

 政府は自衛隊が合憲であることを言うために涙ぐましい詭弁(きべん)を弄(ろう)している。

日本国憲法は、第9条に戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認に関する規定を置いています。もとより、わが国が独立国である以上、この規定は、主権国家としての固有の自衛権を否定するものではありません。政府は、このようにわが国の自衛権が否定されない以上、その行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法上認められる(防衛省自衛隊HP)

 が、いくらこのような詭弁を弄したとしても自衛隊違憲存在であることを払拭しきれない。そのため、安倍晋三首相は憲法自衛隊保持を明記したがっているのだと思われる。

 逆に言えば、自衛隊は合憲であるという政府解釈はあまりにも苦し紛れの解釈だということである。だからこそ、憲法自衛隊保持を明記することでこの問題に終止符を打ちたいのである。

 が、もし国民の過半数自衛隊は既にして合憲だと考えているのなら、自衛隊保持を憲法に明記するのは「屋上屋を架す」(おくじょうおくをかす)こととなってしまう。だとすれば、憲法自衛隊保持を明記するのは、国民の2割の人たちが何かの際に自衛隊違憲論を唱えないようにするための「防御策」に過ぎなくなってしまう。

 が、国民は自衛隊を巡るこういった複雑な議論をどこまで理解しているのであろうか。自衛隊合憲とは、ある意味、政府の詭弁を支持するということになるが、おそらくほとんどの人がそんな事情も知らず気楽に自衛隊を合憲と応えたのではないだろうか。そうだとすれば、恐ろしいことである。