《東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水を浄化した処理水の処分について、政府は関係閣僚会議を開き、海洋放出する方針を決めた》(4月14日付神戸新聞社説)
が、各紙社説に目を通してみて、今回の政府の決定を素直に書けない社説がどれほど多い事か驚くばかりである。
東京社説は、<処理水>をわざわざ<放射能処理水>と書く。
《政府は、東京電力福島第一原発事故で発生した放射能処理水を海洋放出することを決めた》(4月14日付東京新聞社説)
トリチウムは放射性物質なのだから<放射能処理水>と書いて何が悪い、と開き直るのだろう。が、このような表現が結果的に風評被害となって福島の人々を苦しめることになるということへの配慮はなさそうである。
読売社説も同工異曲である。
《東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質を含んだ処理水の海洋放出が決まった》(4月14日付読売新聞社説)
書くのなら「トリチウム」とはっきり書かないと<放射性物質を含んだ処理水>という表現では有害な放射性物質が除去されているということが伝わらず、この処理水が有害であるかのような誤解を招きかねない。
また、あからさまに悪評を巻き散らそうとする輩(やから)もいる。
【訳】日本は核物質を含む汚水を海に流した。私達は、どうすれば核放射線の被害から身を守ることができるのだろうか。
さて、琉球新報社説は次のような問いを矢継ぎ早に投げ掛ける。
《放射性物質の海洋放出によって海の環境や人体に与える影響はないと断言できるのか。漁業など風評被害はどのように払拭(ふっしょく)するのか。中国、韓国、台湾など近隣諸国は決定を非難している。国際社会の理解は得られるのか》(4月14日付琉球新報社説)
まず、<影響はない>と思われたとしても、神でない以上<断言>することは出来ない。<断言できるのか>などと迫っても、実りのある話にはならないだろう。
次に、<風評被害>であるが、風評も千差万別であろうから、具体的な風評が現れない限りどのように払拭するのかなど言えるはずもない。
また、シナや韓国の非難に対してはしっかり反論すべきである。今回の政府の決定はIAEA(国際原子力機関)や米国の理解も得ている。
「世界的に受け入れられている原子力の安全基準に沿った透明性のある決定を行った」(米国務省のネッド・プライス報道官)
「日本政府の決定は世界的な慣例に従っている」「(海洋放出の)前も、途中も、後も日本と緊密に連携する」(IAEAのラファエル・グロッシ事務局長)
(以上、夕刊フジ 4/14(水) 16:56配信)【続】