保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

政治指導者不在のコロナ禍の悲劇(2) ~印象操作~

NHKのWEB記事は次のようなグラフを掲げ、40~50代の重症患者数増加に警鐘を鳴らす。

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 《特に増えているのが40代から50代の重症患者で、先月18日には4人でしたが、徐々に増え、先月27日には11人、そして今月6日には26人と感染拡大の第4波で最も多かった5月11日の25人を超えました。

今月7日には28人となっています》(「東京都 40から50代で重症患者増加 第4波のピーク超える」:NHK NEWS WEB 07月11日 17時46分

 が、実際は、50代は変動がみられるものの、40代は大きな変化はない。

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(東京都福祉保健局発表のものを池内が一覧化)

厚生労働省の専門家会合は高齢者ではワクチン接種が進み、重症患者の増加が抑えられている一方、接種が進んでいない40代や50代で重症患者が増えていると分析しています》(同)

 つまり、記事は40~50代のワクチン接種が進まないから重症者数が増えていると「印象操作」を行っているのである。が、40代が重症者数に変動がないということは、ワクチン接種と重症化に相関関係は見られないということを意味する。それでは拙(まず)いので50代と合わせて問題にしているのである。

 40代にもワクチン接種をさせようとするのはなぜか。そこにはワクチン利権のようなものはないのだろうか。

 新聞社説も「印象操作」に加担する。

《感染者が増えても、重症化を抑えるワクチン接種が進めば病床使用率は落ち着く。確かに、先行する65歳以上の高齢者はワクチン効果が認められるものの、入院者や重症者は、接種者が少ない40~50代で目立つのが最近の特徴だ》(7月9日付河北新報社説)

《40~50歳代の重症者が増加し、感染力が強いとされるデルタ型の変異ウイルスへの置き換わりも進んでいるという》(7月9日付読売新聞社説)

《東京では40代~50代の入院患者や重症者の増加が目立つ》(日付日本経済新聞社説)

《都内では40~50代の重症患者が増えている》(7月9日付京都新聞社説)

 きちんと調べないから「情報操作」に加担させられていることに気付かない。否、おそらく「情報操作」に当たるかどうかなどどうでもいいのではないか。各紙横並びの記事を載せておくのが無難ということなのだろうと思われる。他紙と違うことを書けば風当たりが強くなる。場合によっては、とんでもない逆風が吹くかもしれない。おそらくはそんな危ない橋を渡りたくないということなのであろう。

《専門家会議は酒類を伴う飲食が感染リスクを高めているとのデータを示した。飲食店への休業や時短営業要請は不可欠だ》(7月9日付東京新聞社説)

 私は根拠薄弱だと思うけれども、百歩譲って問題なのは、<酒類を伴う飲食>自体ではなく、集団で酒を飲んで騒ぐことであると言うべきではないか。<飲食店への休業や時短営業要請>は不可欠というよりも不条理だ。【続】

共産主義者に乗っ取られた観のある東京五輪について

橋本聖子東京2020組織委員会会長と「MAZEKOZEアイランドツアー」の総合構成・キャスティング・監督・総指揮を担当する女優の東ちづる女史の対談が東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイト「​東京2020​」に掲載されている。

「東京2020大会が決まったときは、日本のカルチャーが変わるきっかけになる、特にあまり知られていないものが知られるビッグチャンスになると思いました」(東)

 日本文化を自分本位で変えてしまおうということである。

「(「MAZEKOZEアイランドツアー」)の台本を拝見して、「これだ」と思いました。障がいのあるなし、ジェンダー、国籍など関係なく、いろいろな人が当たり前のようにそこにいて、それぞれが表現している。大会のテーマとして「多様性と調和」がありますが、まさに「これなんだ」という感じです」(橋本)

 この発言からも橋本会長が「現実」を弁(わきま)えぬ「左翼政治家」であることが知れる。

MAZEKOZE(まぜこぜ)という言葉は、実は混ぜご飯からきているんです。多様性やダイバーシティは、まだ少し敷居が高いので、身近な言葉にしました。混ぜご飯って、それぞれの食材の良さを引き立たせる工夫がされていて、それを最後にさっくり混ぜるとおいしいんです。決して「ごちゃまぜ」ではない。それぞれの良さを生かし、混ぜることでさらに良くなる」(東)

 要は、「共産主義社会」と言うと受け入れられないからオブラートに包んでいるということだ。

「多様性社会というとミックスジュースを思う方も多いですね。なんでもかんでも入れて、1つにする。そこから外れると、「和を乱す」、「秩序が壊れる」と。では、「和」って何でしょう。「秩序」って何でしょう。みなが同じ方向を向くことが、和とか秩序なら、すべての人にとって居心地のいい社会とは言えない。自由に、自分らしく、あちこちを向いている。それでも、尊重し合って、支え合って、それが多様性社会。まさに、個が生かされるフルーツポンチです。

今回のプログラムで伝えたいのも、まさにいろいろな人がまぜこぜに暮らしています、生きていますということ。共生社会を目指そうとか、多様性を実現しようとか言うけれど、もうすでにあるんです。普段は会わない人たちだけど、ちゃんとそこに生きている。それを可視化したいと思ったんです」(東)

 「17条憲法」以来「和を以て貴しとなす」としてきた日本の文化伝統を自分の価値観だけで否定する。個人に留まるのであれば仕方ないが、東京五輪という大きな場でこのような価値観を発信しようというのであるからとんでもない。

「何年か後、できるだけ早いときに振り返った時、東京2020大会があったから多様性と調和が当たり前に社会に受け入れられた、東京2020大会がきっかけだったね、と言われるようになればいいなと思います」(橋本)

 東京五輪はこのような「共産主義者」によって先導されているのである。

「すべての人がイコール、対等になる。人権を考えるチャンスです。そんな共生社会、多様性社会になればと思います」(東)

 左翼夢想家の言いたい放題、やりたい放題の観がここにある。

40人出席のバッハ会長歓迎会について

《18日。東京・赤坂の迎賓館で開かれたIOC(国際オリンピック委員会)・バッハ会長の歓迎会が、物議を醸している。

(中略)

歓迎会には、IOC関係者のほか、小池都知事、森前会長、丸川五輪相など、40人ほどが出席したという。

(中略)

収容人数は、着席の状態でおよそ80人としていて、今回の出席人数は、その半分程度に抑えられていた。

食事や酒は振る舞われず、所要時間はおよそ1時間。

(中略)

出席した加藤官房長官は、今回の歓迎会を「サロンコンサートとして、音楽を鑑賞するという形で行われたもの。ソーシャルディスタンスの確保など、コロナ対策が厳格に講じられていたところであります」と説明した》(2021年7月19日 月曜 午後6:13 FNNプライムオンライン)

 これに対し、会場の外のデモ隊は、

「多くの人たちに、コロナ感染を予防するために集まるなと。会食するな・集まるな、遠方に移動するなと言っておいて、IOCのバッハ会長は何をやっているんですか!」(同)

と「正論」を吐く。が、デモ隊も屋外とはいえ「密」の状態であるから、テレビ朝日『モーニングショー』の玉川徹氏が大好きなPCR検査をしっかり受けて参加してもらいたいものである。が、

「不要不急のパーティーやめろ」「ぼったくり(男爵)は帰れ」「五輪は中止」(日刊スポーツ2021年7月19日8時51分)

とのシュプレヒコールは相変わらずである。

 お笑いタレントの千原ジュニア氏は、ABEMAABEMA的ニュースショー』で次のように批判した。

「歓迎会開催? これはちょっと、黙ってられないですね」

「舐められすぎというか、これだけ我々が我慢していて、歓迎会? それで国の長と東京の長と色々な元会長とが40人ほど集まってやるんでしょ。これ例えば、去年なんかでも、コロナ禍でコロナ関係なく亡くなられた方はお通夜もできない、葬儀もできない。本当にごくごく数人でみたいな。一周忌、お酒飲みながら、お寿司つまみながら故人を偲ぶこともできないという中で、よくみんな黙っているな」(ABEMA TIMES 2021.07.18 13:08)

 葬式や法事が出来ないというのは緊急事態宣言の勝手な解釈だろう。こんな無責任なことを言わせている番組も番組だ。

《与党幹部は、歓迎会について、「日本としての礼儀の問題」。

批判の声が出ることには、「世論がおかしい」と話した》(同、FNNプライムオンライン)

 おかしいのは世論よりもむしろこの与党幹部である。菅義偉首相が出す必要もない「緊急事態宣言」を先手先手ということで出したのだから、歓迎会も先手で中止すべきだったのではなかったか。

 私は五輪を開催する限り歓迎会はあって然るべきだと思う。問題は、五輪を開催するにもかかわらず、そして新型コロナによる重傷者、死亡者数に改善がみられる中、どうして緊急事態宣言を出したのかということである。この辺りの問題を整理する能力が欠けているから「世論がおかしい」などという他者否定の発言になってしまうのではないか。

 京都大学藤井聡教授はツイッターで次のように批判した。 

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