《土石流が静岡県熱海市伊豆山地区を流れ下った7月3日、上流部の森林を開いて作られた太陽光発電施設との関連を指摘する声がSNS上にあふれた。その後、静岡県の調べにより、谷あいに残土が持ち込まれて盛り土された場所が土石流の起点だったとわかり、"盛り土主因説"が浮上。"太陽光発電犯人説"は影を潜めた。
とはいえ、土石流発生メカニズムの解明は途上だ。傾斜地への太陽光パネル設置については、経済産業省が最近、規制を強化し、小泉進次郎環境相も規制区域の導入検討を示唆。土石流発生リスク回避の新たな動きが出てきた》(河野博子「太陽光パネルと土砂災害、解明迫られる因果関係」:東洋経済2021/07/10 9:00)
太陽光発電施設は出来れば触れたくないというのが行政側の本音だろう。もし今回の災害に太陽光発電施設が絡んでいたとすれば、当然全国の同様の山間部の施設はすべて見直さざるを得なくなる。そんなことをすれば、「再生エネルギー」比率を高めることが出来なくなり、原発も駄目、太陽光も駄目では2050年脱炭素という国際公約は絶望的になってしまう。
話を戻せば、今回「盛り土」が崩落した原因の1つに、太陽光発電施設設置によって山に吸水されなくなってしまった雨水が流れ込んだことがあるとも言われている。
《全国のメガソーラー建設予定地で地域住民との紛争が起きているが、そこで目立つのは、「メガソーラーが土砂災害を引き起こす」という懸念だ。
この懸念はどこから来ているのか。1つは、森林を切り開くことにより、森林が果たしていた保水機能が失われるということ、もう1つは、太陽光パネルを敷き詰めることによる降雨時の水の流れ方の変化がある》(同)
それどころか、この太陽光発電施設は「土砂流出防備保安林」指定区域に造られた疑いすら浮上している。
太陽光発電施設自体もしばしば崩落事故を起こしている。
《7月5日には、神戸市須磨区の斜面に設置された太陽光パネルが、約400平方メートルにわたって崩れ、すぐ下を通る山陽新幹線が一時、運行を見合わせた》(「災害警戒区域がハゲ山に… 西日本豪雨が浮き彫りにする「太陽光エネルギー」という人災 」:デイリー新潮 2018年7月26日(木) 13:28:46)
《続いて7日には、兵庫県姫路市の傾斜地で、太陽光発電施設がおよそ3600平方メートルにわたって崩落した》(同)
【続】