《第5波とみられる感染拡大をどう食い止めるのか?という中で出てきたのが、緊急事態宣言下でも酒の提供を続ける飲食店に対する「2つの対策」です。
1つは「金融機関」などから飲食店に対して、酒の提供停止などに従うよう働きかけることを要請するというものです。もう1つは酒類の「販売業者」に、酒類の提供を続ける飲食店への取引停止を要請するものです。
これらの案はどちらも相次いで「撤回」に追い込まれました。この2案を出した責任者の西村大臣は14日、改めて国会で陳謝しました。
西村経済再生担当大臣「飲食店の皆様、また酒販の業界の皆様に大変なご不安を与えることになりまして、深く反省をしております。申し訳なく思っております」》(日テレNEWS24 7/14(水) 22:09配信)
が、<反省>とは口先だけだろう。西村大臣は前にこんなことも言っていた。
《政府は2日、新型コロナウイルス対策の強化に向け、飲食店の感染対策状況を利用客が報告する新たな仕組みを導入すると発表した。感染対策の「第三者認証制度」の基準が守られているかグルメサイトのアンケートに回答し、国から情報提供を受けた都道府県が「違反店」を指導する。7月中の開始を目指す。
(中略)
新たな仕組みは、店の利用客が「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」の3サイトを通じ、座席間隔、マスク着用状況、手指消毒、換気などの対策が講じられているかアンケート形式で回答する。
違反店が正当な理由がなく都道府県の指導に従わない場合は認証を取り消すこともある》(毎日新聞 2021/7/2 19:04)
これでは飲食店を生かすも殺すもアンケート次第ということになりかねない。まさに「密告」による「恐怖政治」である。
西村大臣は14日、
「なんとか感染拡大を抑えたい、できるだけ多くの皆様のご協力をいただきたいという私の強い思いからの発言」(日テレNEWS24、同)
だと答えている。が、これは「詭弁(きべん)」と言うしかない。なぜなら政府関係者から次のような声が出ているからである。
「言うことを聞かない店への対策としてやるなら、あれしかない」(同)
言うまでもなく<言うことを聞かない店>が、感染の拡大源というわけではない。にもかかわらず、<言うことを聞かない店>を狙い撃ちにしたのは、言うことを聞かないことへの怒りか、言うことを聞く店と聞かない店の不公平が許せなかったからであろう。
が、要請に従わなければ、金融機関からその飲食店に働きかけさせたり、販売業者に酒類の取引停止をさせたりするのは、ここはシナかと見紛うばかりの強権主義ではないか。【続】