保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

政治指導者不在のコロナ禍の悲劇(3) ~自由の抑圧~

《発令に伴い、酒類提供店は午後8時までの時短営業から休業へ逆戻りを強いられる。

 自治体からの要請を受け入れた見返りに協力金が支払われる仕組みだが、営業すれば得られたはずの利益を補償する制度設計になっていない。支給が遅れる例も続出し、資金繰りを圧迫している。

 協力金による事業者支援は限界があり、長期に及ぶコロナ禍では有効打にならない。要請に応じない飲食店が出るのは、支援が安全弁として機能していないためだ。そうした店が多数出れば、宣言は尻抜け状態になる。

 活路を見いだせない自転車操業が6週間も延長される。政府は窮状を目の当たりにしながら、いつまで手をこまねくのか。救済の在り方を見直し、休業に見合う制度に即刻切り替えるべきだ》(7月9日付河北新報社説)

 時短や休業を要請するのなら、それに見合うお金を支給するのが当然である。が、支給が遅れたり、支給額が不十分であったりすれば、要請に応じない店が出て来るのもまた至極当然のことである。

 そこに要請に応じる店と応じない店があるのは不公平だという「ルサンチマン」(怨恨)が顔を出す。それは平等が真理であるという思い込みの産物である。が、自由と平等は「二律背反」(trade-off)の関係にあるから、平等にしようとすると自由が抑圧されることになる。

《新型コロナ対応を担当する西村康稔経済再生相が、飲食店に酒を出させないため、業者にお金を貸している金融機関に「働きかけ」を依頼する方針を表明した。すぐに撤回に追い込まれたが、同時期に酒の卸業者に出した「酒の提供を続ける飲食店との取引停止」の依頼は取り消していない(注:13日に撤回)。西村氏は「メディアや広告での扱い」にも触れ、「順守状況に留意するよう依頼を検討」としていた。現時点でも、問題をどこまで自覚しているのか、極めて疑わしい。全面的に方針を改めるべきだ》(7月11日付朝日新聞社説)

 これでは西村大臣は経済再生相よりも共産主義社会推進相と言う方が相応(ふさわ)しい。が、自民党が既にして左傾化してしまっているためにそのことに気付かない。やろうとしていることが、中共権威主義と同じであると認識できない。自由を抑圧しようとして憚(はばか)らない自由民主党とは羊頭狗肉(ようとうくにく)もいいところである。

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《コロナ対策の特別措置法では、緊急事態宣言などの地域では、酒を出す飲食店に時短や休業を要請・命令でき、従わない場合は罰則もある。だが、取引先を通じて経営に打撃を与えるようなことは、特措法にも緊急事態宣言の基本的対処方針にも書かれていない。

 それゆえ「働きかけの依頼」のかたちをとったのだろうが、金融庁国税庁といった規制官庁からの「依頼」は、事実上の強制になりがちだ。一方で、金融機関は、ただでさえ資金繰りの厳しい飲食店の死命を制する力も持ちうる。結果として過剰な制裁になりかねない》(同)

 難癖しか付けられないマスコミに正論を吐かれているようでは自民党もお仕舞である。​【続】​