保守論客の独り言

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東京都のカンニング竹山氏への抗議について

《東京都がタレントのカンニング竹山(50)に対し、番組内での発言の訂正を求める抗議文を送付していた》(日刊ゲンダイ 4/1(木) 12:30配信)

 3月28日生放送のテレビ番組「アッコにおまかせ!」(TBS系)で、小池都知事が出演したユーチューブの広報動画について竹山氏が、

「制作に4・7億円かかってるんですよ。全部じゃないけど、そのうちの一本に4・7億円の税金が使われている」(同)

と批判したことが事の発端である。が、これは事実誤認で、竹山氏は

「4・7億円は、動画制作費ではなく、広告費全体の経費でした」(同)

と番組内で訂正し謝罪した。

 具体的な数字を扱う時は細心の注意が必要である。テレビという影響力の大きな媒体においては尚更(なおさら)である。

 が、竹山氏が番組内で訂正しているにもかかわらず、都は

《放送の翌日(29日)、TBSと竹山の所属事務所「サンミュージック」に発言の訂正を求める抗議文を送った》(同)

 都政策企画局の言い分は、

「動画の制作にかかった費用は計1800万円。4・7億円かかった事実はない。訂正を求めるため抗議文を送付した」

「4・7億円という数字が独り歩きし、都庁に抗議電話が殺到し迷惑している。正しい情報発信をしてもらうためにも抗議が必要と判断した」(同)

ということなのだが、この都の対応に対し疑問の声が上がっている。

 須藤春夫法大名誉教授(メディア論)は言う。

「行政機関が一個人の発言をとがめるなど、あってはならないこと。自由な言論を制限する由々しき事態です。特に、都を厳しく批判する竹山氏の発言を制する行為は、『余計なことを言うな』と圧力をかけているように映る。現場職員の苦労も一定程度は理解できます。しかし、曲がりなりにも首都を預かる行政機関なら、批判をキチンと受け止め、真摯に説明を尽くすべきでしょう」(同)

 舛添要一都知事も、都の対応を「全体主義国のような反応」だと批判する。

 論点を少し変えよう。小池都知事の広告費問題は、東京都議会の令和2年第2回定例会(6月3日)において上田令子都議が一般質問を行っている。

質問4 遅きに失した外出自粛を呼びかけるために、小池知事が頻繁に登場する広告費は、23種類のCM作成、受注は電通博報堂ADKマーケティング・ソリューションズ、総額6億4千万。大阪では、大阪城のライトアップ600万ですら出し惜しんで広告費はかけず、北海道はゴールデンウイーク中だけ1000万ということで、いかに都が破格の広告を打ったかがわかります。

 2期目の都知事選が目前に迫る中、GRPも確認することなく早々と6億も投入し、感染拡大防止協力金支給はおくれにおくれていては都民も納得できますまい。コロナ禍にあえぐ都民のために1円でも節約しようと考えるのが当然なのに、選挙前に広告業界へばらまきではないかと批判されるような巨額を、どのような神経でなぜ拠出できたのか、私にはとても理解ができません。周知のためだという陳腐な説明は要りません。

 この広告費は不要不急ではないとされる知事の価値観と正当性の根拠をお述べください。

答弁

知事

 新型コロナウイルスに関する情報発信についてでございます。

 緊急事態措置におきましては、都民や事業者の方々に徹底した外出自粛等の感染拡大防止策にご協力いただくことが極めて重要であることから、あらゆる世代を対象といたしまして、多様なメディアを活用し、適正な経費のもとで集中的に必要な情報発信を行ったものでございまして、ご指摘には当たらないと考えております。

 どうしてこんな広告を打たなければならないのかさっぱり分からない。これは体(てい)の良い「自己宣伝」でしかない。

 都民は舐められている。これでいいのか。

(追記)令和2年度、小池百合子知事自身も頻繁に登場するテレビCM等広告費総額は11億円(自由を守る会調査)