《水戸地裁の判決は避難計画策定の遅れ、この一点を論拠として第2原発の運転をしてはならないとするものだ。地震の揺れや津波の規模、火山の影響などに対する第2原発の安全性は全面的に認めた上での差し止め判決だ。
だが、避難計画の作成は本来、自治体が行うものである。その遅滞や内容の不備を理由に原発の運転を認めない判決は、お門違いであり、理不尽だ》(3月19日付産經新聞主張)
判決がおかしいというよりも、原発行政がバラバラなのがそもそもの問題なのであり、避難計画を自治体任せにしてしまっていたことを反省すべきである。
が、避難計画すらまともに作成されていなかったのだから、再び事故が起これば、福島第1原発事故の際のドタバタ劇が繰り返さるのではないかという不安が拭えない。ただただ事故時に菅直人のような無能無責任な人間の政権でないことを祈るだけである。
《判決によると、原発の30キロ圏内にある14市町村のうち、広域避難計画を策定しているのは5市町だけ。それも大渋滞発生などの懸念が残っているという。
このため、前田英子裁判長は「実現可能な避難計画や防災体制が整えられているというには程遠い」と指摘。生命や体に深刻な被害を及ぼしかねず、「人格権が侵害される具体的危険がある」と差し止めを命じた。
実効性のある避難計画を原発運転の大前提とすべきだろう。しかし今、国は計画立案や実施体制整備を自治体任せにしている。無責任ではないか。米国は避難計画を原発の規制要件として位置付けている。日本でも、国が主導して対応する必要がある。それをせずして、安全対策は十分だとは到底言えまい》(3月20日付中國新聞社説)
個別具体的な計画は自治体に任せるということはあっても、最終責任は国が持つということが不可欠である。「実現可能な避難計画や防災体制が整えられているというには程遠い」と指摘されるということは、国の無責任さが露呈したと言うべきだろう。
《福島の事故では、大量の放射性物質が放出されたのに、住民が初期放射線をどれほど浴びたか、ほとんど測定されなかったため不明のままだ》(同)
実際、菅直人民主党政権は、放射性物質の拡散予測SPEEDIを無視し、同心円状に避難区域を設定したために、住民を被曝させてしまった。
《文部科学省が福島第一原子力発電所の事故対応を検証した報告書をまとめ、事故の直後に原発の北西部に職員を派遣し、高い放射線量を測定したのはSPEEDIという放射性物質の拡散予測を基に調査地点を選んだ結果だったことが分かりました。
専門家は、SPEEDIの予測が実際の放射線量に結びつくことに早くから気づいていたにもかかわらず、データを直ちに公表しなかったのは大きな問題だと指摘しています》(「SPEEDIで実測も非公表」:NHK NEWS WEB 2012年6月11日19時30分更新)【続】