保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

石破茂氏は「オワコン」だ!(1) ~ミスター自虐史観~

最近、「終わったコンテンツ(内容)」を「オワコン」と呼んだりするが、石破茂氏の発言を聞いているとまさに「オワコン」と思わざるを得ない。

 自民党総裁選に立候補した石破茂元幹事長は、8日午後の所見発表演説会で、どうして戦前の日本が戦争になったのかについて持論を展開した。

《国民には正確なデータが知らされていなかった。メディアは戦争をあおった。そして権力とメディアが癒着をした、さらには、そういうことをすれば予算が削られる、そう恐れた軍部もあった。反軍演説をした但馬の代議士、斎藤隆夫(は)、衆院議員を除名になった。反対した者はわずか7名であった。

 それぞれが保身に走り、個の利益、全体の利益を優先したとき、国は悲劇の道を歩む。そのようなことを決して繰り返してはならない。戦後は終わったということを、私たちはもう一度心に刻まなければなりません》(産経ニュース2020.9.8 16:37)

 国民が確かな情報を持ち合わせていなかったことが国を誤らせたとでも言いたい口振りである。このように考える人は「間接民主制」というものを理解していない人である。

 当たり前だが、国民は一人ひとり能力も違えば興味関心も異なる。同じ情報を与えられても反応は区々(まちまち)である。そこで議論を通して判断しようとするわけであるが、国民全員が一堂に会して議論することなど不可能である。したがって、選挙によって自分たちの代表を選び、その代表が議論し結論を導く形をとるわけである。

 また、石破氏は<メディアは戦争をあおった>と言う。これが問題であったという問題意識があるなら、今の状態はどうなのか。メディアは国民を煽ってはいないのか。メディアは、確かな情報を国民に伝えることよりも、自分たちが考える方向に国民を誘導しようとしてはいないか。

 こういったことに対する反省がまったくといってなされていないのが石破茂氏である。

 さらなる石破氏の問題は、戦争という相手を必要とするものを自分の側からしか考察できていないところである。日本が侵略欲よろしく大陸へ進出したなどという話は「国際感覚」というものを欠いた幼稚な発想である。はっきり言おう。国際的な問題を自分の側からだけしか見ることが出来ないような人間は絶対に国の指導者となってはならないのである。

 当時の国際情勢はどのようなものであったのか。その中で日本はどうして戦争という手段に訴えなければならなかったのか。そのことについての省察なくして歴史を語るべきではない。

 戦後75年が過ぎ、当時は知り得なかった情報が明らかとなってきている。米国で公開されつつある『ヴェノナ文書』はその最たるものである。米国においてコミンテルンがいかに暗躍していたのかが知れる貴重な文書である。フーバー米元大統領も歴史書を書いている。チャーチルの著作もある。

 これらを見れば、日本が戦争を起こしたというよりも戦争に巻き込まれたという方が正しいことが分かるだろう。が、石破氏はこれらの情報を参照しない。

 確かな情報があれば正しい判断が出来るなどというのは幻想である。そのことを石破氏自身が証明している。【続】